ジャズ名盤ランキングベスト100!初心者にも聴いて欲しい名曲アルバムを厳選!
大人になったらジャズを聴きながらバーボンを片手にひとり佇むなんてことを夢見ていた方もいたかも知れません。しかし、ジャズには数々の名盤がありますが、どうしても初心者には少し敷居が高いように感じている人がいることも事実です。そんな初心者にも入りやすいジャズの名盤をランキングでお届けしましょう。ランキングは、ベスト100位で、定番のアルバムや、名曲とされた曲まで、ジャズの楽しさをお届けしましょう。
目次
ジャズ名盤ランキングベスト100!
初心者にもおすすめ!定番な名曲入りアルバムを紹介
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング100位~71位
名曲ベスト100のランキング100位~71位
バラードからアップテンポまで、ジャズの魅力はそれぞれ違いますが、比較的初心者にも受け入れやすいジャズの名曲ランキングベスト100をお届けしましょう。
まず、名曲ベスト100の中のランキング100位から71位までです。
100位:キャノンボール・アダレイ(キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ)
熱きライヴの傑作
マイルス・デイヴィス・グループのマイルス抜きのマイルス・グループのメンバーで、1959年2月3日にシカゴで吹き込まれました。キャノンボールとジョン・コルトレーンのダブルサックスが繰り広げる白熱のバトルが聴きどころです。
ダブルサックスの魅力
御大のマイルスがいない分、メンバーみんながリラックスして伸びやかに演奏している雰囲気があります。やはりマイルスグループとはひと味違い、特にキャノンボールとコールトレーンのサックスの掛け合いは最高です。
99位:パット・メセニー(トリオ 99→00)
シンプルなギタートリオ
1999年の来日公演を大盛況で終了したメセニー~ラリー・グレナディア~ビル・スチュワートによるトリオのニューヨークで録音されたアルバムです。シンプルなギター・トリオで、パットメセニー本来の叙情的な演奏もありますが、ジャズ的即興の妙を存分に聴かせるスリリングな演奏が大半を占めます。
絶妙のコンビネーション
ラリー・グレナディアはとっても良いフィーリングを持ち、ビル・スチュアートはまさしく彼らしいドラミングで、パット・メセニーのギターのラインを聴いているだけで感覚が研ぎすまされます。明らかにリズムセクションが、ギターを引き立てています。
最後の曲の「トラヴェルズ」ですが、とてもアコースティックな音色で、パット・メセニーの激しさはなく、穏やかで落ち着いた雰囲気が漂い癒されます。リズムも8ビートが確実に打たれて、短い曲ですが、パット・メセニーギタートリオの心地よいサウンドはジャズ初心者でも聞きやすいでしょう。
98位:ジャッキー・マクリーン(4,5&6 )
曲ごとに編成を変える技
このアルバムのタイトルにある「4,5 &6」とはカルテット、クインテット、セクステットによる演奏ということで、1・2がカルテット。3がクインテット。4-6がセクステットによる演奏という意味で、曲ごとに編成を変えながら興趣を盛り上げていく、若きマクリーンの代表作です。
ジャッキー・マクリーンの魅力
ハスキートーンのアルトサックス
ジャッキー・マクリーンは、哀愁をおびたトーンとエモーショナルなプレイが魅力です。
他のアルト奏者達のクリアーな音色とは違うハスキーなトーンで、少し取っつきにくい人もいるかも知れませんが、一度ハマるととことん聴き詰めたくなる50年代を代表するプレイヤーです。
このアルバムに参加したアーティストは、ジャッキー・マクリーン(AS) ドナルド・バード(TP) ハンク・モブレイ(TS) マル・ウォルドロン(P) ダグ・ワトキンス(B) アート・テイラー(DS)の6人です。1曲目の「センチメンタルジャーニー」は誰もが知っている曲ですが、ゆったりとした演奏で、マクリーン独特のリズム感と音感が全開です。
97位:ビル・エヴァンス(アローン)
初の全曲ソロ
ビル・エヴァンスが1968年に初めて全曲ソロという形で制作し録音したアルバムです。エヴァンスのピアニストとしての最大の特徴であるリリカルな音楽性を如何なく発揮したアルバムです。心の揺れをスウィングするピアノで表現できる稀有なピアニスト、ビル・エヴァンスの世界観が満載のアルバムです。
ピアノソロの魅力
中でも、14分以上演奏する11曲目の「Never Let Me Go」は、ひときわ評価されている名曲です。このアルバムのグラミー賞受賞で、名実共にビル・エヴァンスを代表するソロアルバムと言えます。弾むようでいて優しく包み込むような音色が、聴く人を魅了する作品でしょう。
2曲目の「 A Time For Love」です。没後40年近くなるビル・エヴァンスの曲が、今聴いても古くささを感じさせないのは、やはりピアノソロに掛けたエヴァンスの思いに他ならないでしょう。雨の日にそっと窓際で聴きたくなるようなアルバムです。
96位:ジェリー・マリガン(ナイト・ライツ)
懐かしいあのテーマ曲
50年代に一世を風靡した西海岸を代表するバリトン・サックス奏者ジェリー・マリガンが残した、ロマンティックでムーディな作品です。ショパンのプレリュードのカヴァーは、FM番組、油井正一の「アスペクト・イン・ジャズ」のテーマ曲だったことでも知られています。
初心者におすすめ
タイトル曲の「ナイト・ライツ1963年ヴァージョン」です。都会の夜景が似合う曲揃いで、ジャケットをそのまま音にしたようなおしゃれ感があります。また、ジェリー・マリガンがピアノを弾いているのも注目です。このアルバムは全体的に、穏やかで、控えめな感じで、白熱するセッションとは違った良さがあり、初心者には比較的聴きやすいアルバムです。
95位:ハンク・モブレイ(ディッピン)
軽快な曲揃い
ハンク・モブレイの名声を決定づけた永遠のロング・セラーです。アルバム全体にハンク・モブレイのテナーサックスが伸び伸びと冴え渡り、また、負けじとトランペットやピアノが弾みます。軽快なノリのいいサウンドが心を癒してくれます。
各パートの調和が絶品
2曲目の「リカード・ボサノバ」ですが、哀愁漂うメロディーは、聴いたことがある人も多いでしょう。全編端正な音色でメロディアスなフレーズを奏でる演奏は日本でも人気が高く、ジャズの初心者向きのアルバムです。ジョン・コルトレーンやスタン・ゲッツのようなメジャーさはありませんが、地味に素晴らし音色を醸し出しているハンク・モブレイもかなり評価されています。
94位:ソニー・クラーク(ソニー・クラーク・トリオ)
2種類の「ソニー・クラーク・トリオ」
「ソニー・クラーク・トリオ」というタイトルの作品は2つ存在します。こちらは1957年に発売されたブルーノートの秘蔵っ子ソニー・クラークのブルーノート名盤です。傑作「クール・ストラッティン」のリズム・セクションと共にスタンダードをたっぷりと熱演しています。
タイム盤は、ブルーノート盤が発売された3年後の1960年にジャズの名盤を生んだマイナー・レーベル`TIME`の音源を巨匠バーニー・グランドマンがマスタリングしてタイム盤として発売しました。強靭なタッチと息を飲むようなフレージングで突き進むバップ・ピアノが壮快です。
どちらを選ぶかは好み
2作の違い
トリオメンバーは、どちらも同じソニー・クラーク(P)ポール・チェンバース(B)フィリー・ジョー・ジョーンズ(DS)のトリオです。
ブルーノート盤とタイム盤の違いは、大きく言えば、ブルーノート盤はスタンダード系、タイム盤は、全編オリジナルで収録されています。
この「BE-BOP(ビ・バップ)」は、少し違いますが、ブルーノート盤は、どちらかと言うと、少し影のある感じが全体の雰囲気を包んでいます。粘り気のある重いピアノのイメージです。一音一音少しずつ後ろに引っ張るよう感じで、一音を丁寧に叩いている独特なピアノの音色が印象的です。
タイム盤の方は、粘り気のある独特な弾き方は同じですが、どことなく軽快さが感じられます。トリオが一丸となって迫ってくるようか雰囲気です。どちらもクラーク本人の個性ですが、たった3年でこれほど違うのは不思議です。
93位:ビル・エヴァンス~ジム・ホール(アンダー・カレント)
ピアノとギターのデュオ
ピアニストのビル・エヴァンスとギタリストのジム・ホールとのデュオ・アルバムです。1962年に録音されたもので、それぞれの楽器の革新者であり、すでに名を成していた両者が繊細で重厚なデュオ演奏をくり広げています。
インタープレイが心地よい
ただ、バラードを主体としながらも、2人のスリリングなインタープレイが展開されています。因みに、インタープレイというのは、すべての演奏者が表現者として等価の比重をもって演奏し、それを高めあって作品を仕上げていくという、まさにアドリブの演奏で会話をしていくようなイメージのことを言います。
このアルバムは、スタンダードジャズをこよなく愛する世代に、とても心地よいアルバムです。静かめの曲が多いですから、初心者には少し退屈かも知れませんが、ひとりゆっくりとジャズを聴きたい時にはおすすめです。
92位:ドナルド・バード(フュエゴ)
炎の1枚
“プロフェッサー・バード”の別名でも知られる人気トランペッターが放った究極のファンキー・アルバムです。「フュエゴ」つまり日本語では炎を意味しますが、炎を通り越して爆発しているようなイメージです。デューク・ピアソンのピアノの和音と連動した、シンバルによる連打が、なんとも、分かりやすく効果的で、アルバム冒頭から、いきなり爆発しているようです。
ファンキージャズならこれ
それぞれが自分を主張しながらも、お互いを引き立て合うような演奏は絶品です。昔ジャズ喫茶通いをしていた世代にとってはお馴染みのアルバムでしょう。ファンキーな雰囲気を味わうには欠かせないアルバムです。
曲によってトランペットの吹き方も変わり、と同時に他のピアノやベース、ドラムまでもペットに合わせて優しいフレーズを奏でているところは、聴いていて心地よいです。特にラストの「Amen」は、ゴスペル調のダイナミックさと、ポップさが両方あわさって、つい体も弾みます。
91位:マイルス・デイヴィス(アガルタ)
モダン・ジャズの帝王
1975年ライヴ録音盤をリマスタリングして再発売されたアルバムです。ジャンルの垣根を越えて、ありとあらゆる音が一つの空間に放り込まれているようなサウンドです。中でも、ピートコージーのジミヘンばりのギターは、どこか突き抜けた感じがします。ジャズ初心者には少し癖が強いかも知れません。
普段スタンダードジャズを聴いていて、それがジャズだと思っていた方が聴くと、混乱を起こすようです。しかし、これも歴としたモダンジャズというジャンルです。マイルスが、バンドのメンバーを徹底的にあおり、どこまでも疾走するパワーに少し怖さを感じる人もいるかも知れません。それほど、マイルスは妥協を許さない徹底ぶりが音に反映されているでしょう。
1975年2月1日、日本の大阪フェスティバルホールでのライヴ録音です。このアルバムに参加したアーティストは、マイルス・デイヴィス(TP)ピートコージー(G、SYN)レギールーカス(G)マイケルヘンダーソン(B)アルフォスター(DS)ジェームズ・エムトゥーメ(PERC、エレクトロニクス)の6名です。
90位:ジョニー・グリフィン (ザ・ケリー・ダンサーズ)
いつもより控えめなサウンド
ジョニー・グリフィンの1961、62年の録音盤です。普段のジョニー・グリフィンは、豪快でアップテンポの曲が多いイメージですが、このアルバムは、ミディアムからスローテンポの曲ばかりで聴きやすいです。
メンバーのサポートが完璧
このアルバムに参加したアーティストは、ジョニー・グリフィン(TS)バリー・ハリス(P)ロン・カーター(B)ベン・ライリー(DS)の4名です。1961年と1962年の録音でイギリスとアメリカのフォークソングをグリフィン流に仕上げたような異色盤で、いつもの豪快なブローは影をひそめて、気品すら感じる極上のグリフィンテナーが堪能できます。
ジョニー・グリフィンのテナーサックスに、バリー・ハリスの流れるようなピアノが印象的です。ロン・カーターとベン・ライリーのリズムセクションも心地よく馴染めます。軽妙な部分もありながら、一音一音に魂を込めたようなサウンドが気持ちを癒してくれて、夜にひとりでゆっくりと聴きたいアルバムです。
89位:ジュニア・マンス(ジュニア)
スイング感が心地よい
気高いブルース・フィーリングの、ジュニア・マンスの個性が横溢(おういつ)するデビューアルバムです。1959年に録音されたツボを押さえたブルース・フィーリングが抜群の最高傑作です。全10曲どの演奏も滑らかで、流れるように聴けます。全く古臭さを感じさせない程よいスウィング感が心地良く、初心者にも入りやすいアルバムです。
モダンジャズの巨人
レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーという伝説の巨人達と若き日々を過ごし、モダンジャズの歴史の日々を刻んできました。1997年には、フロリダ州タンパで、栄誉ある国際ジャズの殿堂入りを果たしたこともある、まさにモダンジャズの巨人です。
このアルバムの3曲目に入っている「ウィスパー・ノット」は、軽快なスイングが心地よいです。この曲は、ベニー・ゴルソンの名曲ですが、ジュニア・マンスのピアノがハマっています。ふーっと聴き流せるくらいの感覚で、心にすーっと入って来ます。ジャズ初心者にも良さが分かってもらえるでしょう。
88位:マイルス・デイヴィス(コンプリート・ライヴ・アット・プラグド・ニッケル 1965)
アメリカ盤8枚組
1965年12月に2日間にわたってシカゴのプラグド・ニッケルに出演した時の演奏をすべて収録した7枚組のボックスセットが日本で発売された後に、アメリカ盤が曲目は同じながら日本盤より演奏時間の長いトラックが10曲入って発売されたのれが、このDISC8枚組です。
過激なマイルスの黄金期
マイルスの黄金のクインテットがもっとも過激に疾走していた時代の記念碑的作品で、ウェインやトニーの猛烈なプレイにも圧倒されます。数ヶ月の療養から戻ってきたマイルスに、待っていたメンバーたちが蓄えていた音の嵐をぶつけるような演奏です。それに応えるマイルスの演奏も半端なく、火を噴くほどの熱い音を返します。そんな勢いのあるアルバムです。
卓越した演奏能力を有するメンバーたちが、既存のジャズとは違う、新しいサウンド生み出しています。このジャズが進化していく中の最前線にいた人たちが繰り広げるサウンドは絶妙です。この技には、まるで聴く人を翻弄させる魔力が潜んでいるかのようです。
87位:ビル・エヴァンス(モントルー・ジャズ・フェスティバルのビル・エヴァンス)
お城のエヴァンスの人気炸裂
ジャケットから「お城のエヴァンス」として人気を博す、1968年のスイス、モントルー・ジャズ祭が生んだ初めてのジャズ・ライヴ・アルバムです。ジャック・ディジョネット参加のニュー・トリオで、エヴァンスならではの鮮烈な個性とエネルギッシュでスリリングな演奏を全編で繰り広げています。
わずか6ヶ月のトリオ
しかし、このトリオは活動期間が6ヵ月しかなく、モントルーの音源が唯一の公式録音となりました。当時のジャック・ディジョネットは、チャールズ・ロイドのバンドに在籍中だったために、その後の共演はかなわず、エヴァンスとの共演作は、「お城のエヴァンス」での1枚のみというのは残念です。
1曲目からジャック・ディジョネットのエネルギッシュ過ぎるドラムに合わせようとするあまり、いつものビル・エヴァンスらしくないピアノが面白いでしょう。ビル・エヴァンス・トリオのいつもよりクールで躍動感が漲るアグレシッヴな演奏で、素晴らしいソロ演奏も心に沁みます。
86位:レッド・ガーランド(グルービー)
ピアノ・トリオの名盤
モダンジャズを代表するピアノ・トリオの名盤中の名盤です。冒頭の「Cジャム・ブルース」からスウィンギーな快演が、ずらりと並びます。ジャズ初心者には、最も聴きやすいジャズピアノの一つと言えるでしょう。
分かりやすいジャズ
初心者向け
ガーランドのピアノの最大の特徴である、その「分かり易さ」を最大限活かした演奏が、2曲目の「Gone Again」と、3曲目「Will You Still Be Mine?」に現れているでしょう。
このアルバムに参加したアーティストは、レッド・ガーランド(P)ポール・チェンバース(B)アート・テイ ラー(DS)のトリオです。全曲に渡って、アート・テイラーのドラムは、柔軟、堅実、かつドラマチックなドラムを繰り広げ、ベースのチェンバースのウォーキング・ ベースはガーランドがビートを強烈にサポートしています。
85位:マル・ウォルドロン(オール・アローン)
哀しみのアルバム
冒頭の「オール・アローン」は「マンハッタンの哀愁」という映画の主題曲にもなりました。ビリー・ホリデイの伴奏者として活躍し、ビリー・ホリデイの死後「レフトアローン」を作曲して大ヒットした、マル・ウォルドロンですが、ジャズアーティストの中でも最も黒人であると言う事を、思わせます。ビリーの死後、ヨーロッパに渡った後に、はじめて取り組んだソロピアノ作品です。
哀愁のピアノ
数多い死を乗り越えた者だけが醸し出すことのできる悲哀、そして深みが、演奏のあちこちに漂います。哀愁たっぷりで、ジャズの深遠を凝縮したエキスを味わえる珠玉の名盤ですので、ひとりでしんみりしたい時には最適のアルバムです。
たったピアノ1台で、苦悩、哀愁、苛立ちなど様々な感情を音に出来るマルは凄いピアニストと言えるでしょう。音楽に一人正面から立ち向かって心を音に表す、その潔い姿と技術がこの作品に一層の感動を与えています。この孤独で孤高な響きは心にとても響く名曲です。
84位:クリフォード・ブラウン(ウィズ・ストリングス)
模範生のクリフォード・ブラウン
天才トランペッタークリフォード・ブラウンが、ストリングスをバックに有名スタンダードを朗々と歌い上げた傑作バラード・アルバムです。情緒豊かで味わい深い名演が並びます。ドラッグやアル中の多い中、全くそれらを寄せ付けない意思を持ち、自らを信じて演奏し続けた結果、天才と呼ばれたトランペット・サウンドを見出します。
天才の早すぎる死
しかし、クリフォード・ブラウンは、仕事先に向かう途中の事故であまりにも早い死を迎えます。当時彼は25歳でした。このアルバムは、彼が亡くなる1年半前に録音されたものです。100年に一人の逸材いわれるほどの華麗なテクニックと、枯れることのない泉の如く湧き出てくる美しく歌心あふれるソロは、今も多くのトランぺッターが彼を目標にしている偉大なるプレヤーなのです。
ラストに入っている「スターダスト」ですが、バックのストリングスに合わせた美しい音色のトランペットを忠実に吹いていて、一寸の乱れも無く完璧に仕上げています。ただ、これは本来のクリフォードの音色とは少し違います。独創的や想像的な部分が廃除されていますので、美しい音色のみが残っています。初心者には聴きやすいアルバムかも知れません。
83位:カーティス・フラー(ブルース・エット)
ジャズの名盤
ジャズを聴くには「必ずこれを聴け」と取り上げられるのが、このアルバムです。収録曲のなかでも最も知名度の高い曲は、1曲目のベニ―・ゴルソン作曲「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」でしょう。トロンボーンとテナーサックスを含む、全員で、いきなりサビを演奏しますが、聴いた事がある方も多いでしょう。
モダン・トロンボーンの第一人者
このタイトル・ナンバーの3曲目「ブルースエット」 はカーティス・フラーの作ですが、カーティス・フラーのトロンボーンとベニー・ゴルソンのテナー・サックスの2管が、見事にバランス良く奏でています。1曲目に注目されがちですが、このアルバムの他の曲もどこかで聴いたことのあるフレーズが満載です。ジャズ初心者には、聴きやすいアルバムでしょう。
82位:ジョン・コルトレーン(ソウル・トレーン)
コールトレーン初期の傑作
1958年にジョン・コルトレーンがプレスティッジ・レコードから発表した初期の名作です。その後、ブルーノートからも出ています。成長を遂げつつあったジョン・コルトレーンがワン・ホーンでハード・バップの真髄を伝える、聴き所満載のアルバムです。
シーツ・オブ・サウンドの体現
ハードとバラードの両方が聴けるアルバムですので、お得感があります。評価では、「シーツ・オブ・サウンド」と言われているようですが、これは音符を敷き詰めたような音という意味で、以降ジョン・コルトレーンの独特の奏法となりました。
2曲目の「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」や4曲目の「テーマ・フォー・アーニー」そして動画のラストの曲「ロシアの子守歌」は、コルトレーンの楽歴を代表する名演ですので、ジャズ初心者には、コルトレーンの入門盤としておすすめ出来るアルバムです。
81位:デクスター・ゴードン(アワ・マン・イン・パリ)
パリで初のリーダー作
60年代に入って、ゴードンはヨーロッパに移り、パリでこのアルバムを録音しました。初のリーダー作です。当初、ピアノにはケニー・ドリューが予定されていたそうですが、ドリューのスケジュールが合わず、急遽、バド・パウエルになり、当時のパリにおけるジャズ人気を象徴させる作品となりました。
ラウンド・ミッドナイトのデイル・ターナー
彼のエッセンスが凝縮
デクスター・ゴードンと言えば、1986年の映画『ラウンド・ミッドナイト』で主役のデイル・ターナーを務め、酒と闘いながらも夜にはサックスを吹きに出かけるというイメージが強いです。
このアルバムでは、1曲目からバップ色の濃いエキサイティングで“太い”演奏が楽しめます。
このアルバムに参加したアーティストは、デクスター・ゴードン(TS)バド・パウエル(P)ピエール・ミシェロ(B)ケニー・クラーク(DS)の4名です。この動画の曲からゴードンとパウエルが、ともにリラックスしながら、刺激しあう名演が生まれています。これは一押しのアルバムで、聴きやすい曲ばかりですので、初心者にもおすすめです。
80位:チェット・ベイカー(チェット・ベイカー・シングス)
ヴォーカル・アルバムの傑作
チェット・ベイカー最大のヒット作。シンガーとして魅力あるチェットが残したヴォーカル・アルバムの傑作です。ウエスト・コースト・ジャズ全盛時代には、チェット・ベイカーはウエスト・コーストのヒーローでした。トランペット奏者として名を上げていったチェット・ベイカーは、1953年からヴォーカルも手がけていて、中性的や都会的な歌声だと人気を集めていきました。
儚(はかな)げでアンニュイなヴォーカル
今でも愛されるヴォーカル
10曲目に収録されている「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」に関しては、フランク・シナトラ、マイルス・デイヴィス、キース・ジャレット等、多くのジャズメンが取り上げてきました.
しかし今でも、チェット・ベイカーのバァージョンが決定版とする声は多いです。
このアルバムに参加したアーティストは、チェット・ベイカー(TP、VO)ラス・フリーマン(P、CELESTE)レッド・ミッチェルカーソン・スミス(B)ジェームス・ボンド(B)ボブ・ニール(DS)ピーター・リットマン(DS)で、曲に寄って、ベースとドラムのリズムセクションが変わるのも聴きどころです。
79位:オスカー・ピーターソン(ガール・トーク)
黄金期のオスカー・ピーターソン・トリオ
この1枚を聴かずにジャズ・ピアノは語れないとまで言われたこのアルバムは、1968年に黄金期を迎えていたピーターソン・トリオの、円熟味を増した快演奏がなんとも心地良い全5曲が収録されています。2曲目の「アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ラヴ」は、ピアノの軽快さが全面に出ていて、17分近くある曲とは思えないほど、心地よく聴けるでしょう。
最高のピアノテクニック
2つのトリオというのは、オスカー・ピーターソン(P)は全曲ですが、サム・ジョーンズ(B=1、2、3曲目)レイ・ブラウン(B=5曲目)ボビー・ダーハム(DS=1、3曲目)ルイス・ヘイズ(DS=2、5曲目)という編成です。
早引きのテクニックも絶品ですが、このくらいのスイングも心地よいです。ミスタッチのほとんどないオスカー・ピーターソンのピアノは聴いていて安心できます。本来アルバムタイトルのガール・トークは、ボーカル物として人気の高い名曲ですが、インストで聴くなら、絶対にこのバージョンでしょう。
78位:アート・テイタム(アート・テイタム~ベン・ウェブスター・カルテット)
スイング時代の巨匠たち
ピアノの神様とテナーの重鎮が出会い、当時のヒット曲を心のおもむくままに演奏した1956年の不朽の名盤です。アート・テイタムは視覚障害者でありながら超絶技巧を誇り、聴力をたよりに鍛えた驚異的なテクニックは、多くの音楽家から注目され賞賛を得ていました。心暖まるテイタムのピアノと分厚くて柔らかいウェブスターのテナーが織りなす極上のバランスが魅力的です。
アート・テイタムの遺作
選曲もスタンダードのオンパレードで、飽きずに聴けて聴き終わった後も、何か不思議な気分にさせるアルバムです。ジャズにおいて最も大事な音楽の間をいぶし銀で表現する演奏には緊張感はなく、聴いているリスナーの心を温めてくれる珠玉の名盤です。このアルバムが、アート・テイタムの遺作になりました。
本来は、豪快なプレイが信条のベン・ウエブスターですが、アート・テイタムの優しいピアノタッチに合わせたような、独特のビブラートを使ったその奏法は、まさに赤ん坊を抱くような包み込む雰囲気です。ハード・バップ全盛時代に残されたスイング時代の巨匠たちによるバラードプレイは素晴らしいです。
77位:アート・ペッパー(リターン・オブ・アート・ペッパー)
復帰第1作目
このアルバムタイトルの「リターン・オブ・アート・ペッパー」のリターンは、麻薬中毒のために演奏活動を度々中断し、2年間塀の中を経験し、刑期を終えて、普通の生活に復帰したという意味です。従って、コンセプトも特に無く、ただ夢中に塀の中で書いたオリジナルを演奏出来る喜びを形にしたのがこのアルバムです。
魅力的なソロの音色
破滅型の天才アルト奏者と世間では言われているようですが、トランペットのジャック・シェルドンを始めとするウエスト・コーストの腕達者と共演したクインテット編成で魅力的なソロを聴かせています。
アルバム9曲目の動画「マンボ・デ・ラ・ピンタ」などは、の気心の知れたジャック・シェルドンとの2管クインテットで、寛いだ雰囲気の中にもスリリングなプレイを醸し出しています。ペッパーならではのスタイルで演奏されたお馴染みのスタンダードも際立っています。
76位:バド・パウエル(バド・パウエルの芸術)
モダン・ジャズ・ピアノの教科書
1947年と1953年の二つのセッションを収録された名盤です。バド・パウエル最高のプレイが収められた“モダン・ピアノのバイブル”ともいえるでしょう。張りつめた緊迫感と高雅な抒情が素晴らしく、モダン・ジャズ・ピアノの教科書とも言える歴史的な傑作です。
トリオ編成のギターをドラムに変えた先駆者
ベースを曲に寄って使い分けています。ピアノ+ベース+ギターというトリオの形をピアノ+ベース+ドラムという編成に変えて位置づけた草分け的存在がピアニストのバド・パウエルです。今はトリオと言えばこの編成が通常になるほど浸透しています。
このアルバムの前半と後半で音質も雰囲気もまったく違っています。1.~8.の前半部分のパウエルは総じて鬼気迫るものを感じます。動画は6曲目の「オフ・マイナー」です。また、後半は、打って変わって細かな部分に気を配った繊細な演奏ぶりがより目立ってリラックスしているような演奏です。
75位:マックス・ローチ(ウイ・インシスト)
人種問題に反論
50年代から60年代にわたる全米各地のブラック・パワーで黒人存在を堂々と主張した代表的な一枚です。奴隷解放宣言100周年に向けて、マックス・ローチが詩人兼音楽家のオスカー・ブラウン・ジュニアとともにコンセプトを発展させた社会的問題作です。この作品が発表された1960年にはケネディ大統領が就任し、差別解消のムードが一気に盛り上がりを見せます。
黒人の主張
参加アーティスト
DS:マックス・ローチ
VO:アビー・リンカーン
TP:ブッカー・リトル
TB:ジュリアン・プリスター
TS:ウォルター・ベントン
コールマン・ホーキンス
B:ジェームス・シェンク
CONGA:ミカエル・オラトゥンジ
PER:トーマス・デュヴァル
レイモンド・マンティーロ
動画はラストの曲「TEARS FOR JOHANNESBURG」ですが、黒人ならではの重いテーマで構成されているものの、その熱さが純粋な音楽として昇華されています。ラップの原型とも言えるパーカッシブルなサウンドはローチの作品の中でも燦然と輝く名作として、その魂は現在に受け継がれているように思います。強いメッセージ性が印象的です。
74位:マイルス・デイヴィス(フォア・アンド・モア)
メンバー全員闘志満々
目が覚める火の出るような熱いプレイでマイルスらしさが全編出ています。以前のアルバムに入っていたおなじみの曲ですが、テンポも構成も変えて、全く新しい形で提示されています。また、トニー・カーターのドラムが、シンバルワークの特異性を活かし、軽快にシンバルを叩いて、曲のリズムに合わせて叩き方も変えるなど、ドラムパターンの組み立てが素晴らしい作品です。
ジャズの変革者勢揃い
一気にたたみかけるようなスピードに乗って演奏されていますが、ただアップテンポなだけというわけではなく、モードに向かっていったマイルスが暗中模索しながら辿り着いたメンバーでこの演奏が繰り広げられています。この時期のハンコックとトニーの演奏スタイルは非常によく似ています。
73位:ポール・チェンバース(ベース・オン・トップ)
ベースがメインのアルバム
50年代のモダン・ジャズ界で最も多忙を極め、現代ジャズ・ベース界にも大きな影響を与え続ける名手チェンバースの技を網羅した歴史的名盤です。ハンク・ジョーンズ、ケニー・バレルの好サポートも絶品で、8年もの長きにわたりマイルスの屋台骨であるリズムセクションの要を支え続けてきたポール・チェンバース21歳の頃のリーダーアルバムです。
バックも含めて職人技
ほとんどの曲にポール・チェンバースのベースがメロディーを取っています。この1曲目の「イエスタデイズ」は、ゴリゴリベースの極致で、哀愁たっぷりの低音とほどよいスイング感のあるベースソロが、とても印象的です。このアルバムはギターやピアノも、派手さはありませんが職人芸が光り、もの凄くエネルギッシュで熱い演奏のオンパレードです。
72位:バーニー・ケッセル(ポール・ウイナーズ)
西海岸のトップ3
1956年のアメリカのダウンビート、メトロノーム、プレイボーイなどの雑誌で楽器別のベストプレイヤーに選ばれたバーニー・ケッセル、レイ・ブラウン、シェリー・マンの3人がトリオを組んで演奏した名盤です。卓越したテクニックを持つ3人が、いかにも西海岸らしい洗練されたスマートな快演を繰り広げる一枚です。
達人たちの名演
さすがトッププレイヤーの集まりだけあって、技術的な事には何にも問題がなく、安心して聴けるサウンドです。特に、レイ・ブラウンは、オスカー・ピーターソン・トリオと同様、リズム・音程とも実に正確です。9曲すべてスタンダードなナンバーばかりで、心安らいで聴けるまさに飽きのこない作品でしょう。
71位:チャールス・ミンガス(直立猿人)
ジャズで人類の文明社会を語る
1956年に、ベーシスト、コンポーザー、バンドリーダーとしてのミンガスが不動の地位を確立した時の録音です。「進化」「優越感」「衰退」「滅亡」というストーリーが音で表現されています。たった5人のミュージシャンによって演奏されているとは思えないほど、ビッグバンドに匹敵する脅威のサウンドが奔出する、ミンガス最大の傑作です。
計算されたテーマと即興性のギャップ
白人中心の西海岸から東海岸へと移り、とりわけニューヨークの黒人中心のジャズが勢いを取り戻した時期にこの録音が行われたため、ミンガスはジャズ・ミュージシャンとして、マックス・ローチ等と共に、黒人の人種差別反対運動や、公民権獲得へ向けた活動の先頭に立った内の一人であり、それがこのアルバムにも反映されています。
癒し系ジャズとは少し違った重圧的な骨太いジャズです。最初の2曲よりも後半の2曲の方が、初心者には聴きやすいかも知れません。ミンガスを聴くというより、ジャッキー・マクリーンのアルトを味わうアルバムのようです。気怠いムードを効果的に引き立てているマル・ウォルドロンのピアノも絶妙です。
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング70位~41位
名曲ベスト100の70位~41位
ここのランキングに入ってくる曲は、スタンダードの巨匠たちが顔を揃えます。インストだけでなく、ヴォーカル主体の曲も含まれています。
では、名曲ベスト100の中のランキング70位から41位までです。
70位:デューク・エリントン(ザ・ブラントン=ウェブスター・バンド)
20世紀最大のジャズ・ポピュラー界の音楽家
作曲家でもありピアニストでもある、デューク・エリントンによる1940~42年の録音盤です。デューク・エリントンと言えば、ジャズだけではなく、アメリカのポピュラー音楽全般に最も影響を与えた偉人です。そのデューク・エリントンが率いたデューク・エリントンオーケストラの最も評価の高かった時代の集大成的作品です。
今も尚続くデューク・エリントンオーケストラ
「A列車で行こう」や「サテン・ドール」「キャラヴァン」等、数多くのスタンダード・ナンバーを世に送り出しました。デューク・エリントンが亡くなった今でもオーケストラは存在していて、エリントンの意思はしっかり引き継がれています。
この動画の「A列車で行こう」のトランペットの人たちが、帽子をミュート代わりに使っているのがとても滑稽です。かなり古い音源ですが、曲そのものは全く古さは感じません。色々な効果音も入っていて、オーケストラという雰囲気が満載で、ここにエリントンのこだわりがあります。
69位:サラ・ボーン(枯葉)
見事なスキャット
「枯葉」のテーマの旋律は全く除外して、驚異的なスキャットで最初から最後まで歌いまくるサラ・ヴォーンには感服します。パワフルさ、疾走感、ドライブ感で圧倒されます。このアルバムに関しては、「自由にやっていいよ」とノーマン・グランツプロデューサーからのお許しが出たようなので、とにかくサラが自由に伸び伸びと歌っているのが印象的です。
カルテットも最高
このアルバムでのサラの歌唱は、ベテランの余裕が感じられ、独特な太くて粘る声もたっぷりと堪能出来ます。豊かな声量で、じっくり歌い込むバラードも魅力的で、カルテットもサラに感化されてように抜群にノッていて、特にジョー・パスのギターが最高です。
68位:アート・ペッパー(モダン・アート)
白人アルトの最高峰
白人アルトの最高峰として位置づけられるアート・ペッパーの最高傑作との呼び声の高いアルバムです。ウエスト・コースト・ジャズの名手を従え、ワン・ホーン・カルテットで録音されたこのアルバムは、アドリブ芸術の頂点を極めています。
カルテットとの息がピッタリ
4曲目の「クール・バニー 」ですが、チャック・フローレスのシャッフルするリズムも際立ちますが、やはり軽快なアルトソロは魅力的です。アート・ペッパーのソロが素晴らしいのは言うまでもありませんが、それに勝るとも劣らないのが、カルテットの面々です。それぞれに素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
67位:マイルス・デイヴィス(バグス・グルーブ)
4ビートジャズの金字塔
後のバップ・シーンを担う巨人たちによるオールスター・セッションです。俗に言われるマイルスとモンクの喧嘩セッションと呼ばれるものですが、実はマイルスの自伝が出版され、これは文字通りの「伝説」で、事実と違うことが明らかとなりました。マイルスとモンクの異常に高いテンションの中で生まれた名作です。
ミルト・ジャクソンの「VIB」が効果的
参加アーティスト
TP:マイルス・デイヴィス
VIB:ミルト・ジャクソン
B:パーシー・ヒース
DS:ケニー・クラーク
TS:ソニー・ロリンズ
P:ホレス・シルバー(1954年6月29日録音)
P:セロニアス・モンク(1954年12月24日録音)
ミルト・ジャクソンの「VIB」とは、「ビブラフォン」のことです。金属製の音板をもつ鍵盤打楽のことですが、これがまたマイルスのトランペットと良く合います。アルバムのタイトルにもなっている1曲目と2曲目の「バグス・グルーヴ」は、このミルト・ジャクソンの作曲です。従ってこの曲にVIBは必須なのです。
「バグス・グルーヴ」や「バット・ノット・フォー・ミー」のテイク1とテイク2を聴き比べてみるのも楽しいでしょう。動画は「バグス・グルーヴ」のテイク1です。全編通してマイルスのペットの魅力は出ていますが、その他のメンバーも素敵な音を聴かせてくれていますので、初心者には馴染みやすいでしょう。
66位:スタン・ゲッツ(スタン・ゲッツ・カルテット)
クールジャズの巨人
1949年6月、1950年1月、1950年4月にそれぞれ3つのカルテットによる決定的名演で、メンバーも毎回変わっています。ゲッツのサックスの音は独特で、ロリンズやコルトレーンと比較すると、ソフトに聴こえるトーンですが、楽器自体が非常にスムーズで美麗な音色です。ハイ・トーンを透明感たっぷりに鳴らすゲッツは、「50年代のクールジャズの巨人」と称されました。
20代とは思えないほどの貫禄
参加アーティスト
TS:スタン・ゲッツ
P:アル・ヘイグ
P:トニー・アレス
P:トミー・ポッター
B:パーシー・ヒース
B:ジーン・ラミー
DS:ロイ・ヘインズ
DS:ドン・ラモンド
DS:スタン・リーヴィー
11曲目の「クレイジー・コーズ」ですが、独特のサックスの音は、すぐにスタン・ゲッツと分かります。ソフトで、美しい音色はいつまでも聴いていたくなります。このアルバムは20代初めの若きゲッツの出世作として有名ですが、すでに堂々とした貫禄すら感じさせる完成度の高い演奏です。
65位:マイルス・デイヴィス(マイルストーンズ)
最強のセクステット
マイルスの硬質な音色のトランペットのクールさと、コルトレーンのシーツ・オブ・サウンズがまさに最強で豪華な演奏に、キャノンボール・アダレイが加入しセクステット(6重奏団)になった直後の録音で、それまでジョン・コールトレーン1人で担っていたサックスにキャノンボールが加わって、よりサウンドに、鮮やかさが増しました。
ジャズファン定番のアルバム
アルバムの前半は、マイルスグループのホーンセクションが目立っていますが、決してリズムセクションは悪いわけではありません。アルバムの5曲目「ビリー・ボーイ」などは、、ピアノ、ベース、ドラムの黄金のピアノトリオが聴く手を圧倒させます。マイルスの一番波に乗っている時期の素晴らしいアルバムです。ジャズファンには定番の1枚でしょう。
64位:ソニー・ロリンズ(テナー・マドネス)
唯一無二のテナーの大御所バトル
1956年5月24日に録音されたアルバムで、タイトルともなった「テナー・マッドネス」は、当時マイルス・デイヴィス・クインテットに籍を置いていた、ジョン・コルトレーンとロリンズが共演した唯一の録音です。リズム・セクションの3人は総て第1期マイルス・クインテッドのメンバーですから、何の心配もなく聴けます。
それぞれの個性発揮
テナーサックスのバトルですが、最初にコールトレーンで後にロリンズが出て来ますが、ロリンズが貫禄の差を見せつけてくれます。まだ熟成されていないコールトレーンのソロを、余裕をかましてさらりと受け流すようなロリンズに感服してしまいます。このアルバムはジャズファンならやはり持っていたい貴重品です。
63位:デクスター・ゴードン(ゴー!)
最高傑作と自負
1962年8月にヨーロッパへ向かう直前に録音された、デクスター・ゴードン自らが最高傑作と認めている作品です。大らかで伸び伸びとしたプレイが魅力のデクスター・ゴードンですが、単に大らかなだけではなく一音一音切れがあります。初心者にも聴きやすいアルバムでしょう。
ワン・ホーンの素晴らしさ
ベース+ドラム+ピアノに管楽器が一つだけ加わることをワンホーンと言いますが、柔らかくふくよかで、なおかつ芯のある音が、"ため"を作ったうえで心地よいアドリブのメロディを奏でるデクスター・ゴードンの音色がワンホーンだからこそ際ち、聴く側を飽きさせない名盤と言えるでしょう。
デクスター・ゴードンは、アドリブもユーモアがあり、特に3曲目の動画「セカンド・バルコニー・ジャンプ」のエンディングは、「よしもとか!」とツッコみたくなるような締めで、思わず吹いてしまいますが、最後の「チャン」が無いのが残念です。このアルバムの中にはスタンダードも入っていて、ジャズの定番と言っても過言では無いアルバムです。
62位:デオタード(ツァラトゥストラはかく語りき)
クラシックをジャズテイストにアレンジ
本名の、エウミール・デオダートを、70年代以降は主にデオダート名義で活動しています。タイトル曲の「ツァラトゥストラはかく語りき」は、リヒャルト・シュトラウスが作曲した、交響詩の同タイトル曲で、SF映画『2001年宇宙の旅』のオープニングで使用されたのは有名です。この曲がデオダートの名を一躍有名にし、クラシックを素材としたアレンジの可能性を拡大したアルバムです。
名アレンジャー
参加アーティスト
P:エウミール・デオダート
AG:ジェイ・バーリナー
EG:ジョン・トロペイ
WB:ロン・カーター
EB:スタンリー・クラーク
DS:ビリー・コブハム
FL:ヒューバート・ロウズ
TP:マーヴィンスタム
PERC:アイアート・モレイラ
PERC:レイ・バレット
ブラジル時代のボサ・ノヴァやラテン・ジャズを下敷きにアメリカで触れたジャズ・ロックやジャズ・ファンクを取り入れることで、“ジャズ+クラシック音楽”といった意匠を高いレベルでフュージョン化した、全米デビュー作で、グラミー賞まで獲得する大ヒット作を出した名アレンジャーです。
クロスオーバーという言葉がまだ無かった時代に作られた曲とは思えないほど、古さを感じさせません。クラシックをフュージョン化したということを強調しているのが、やはりリズムセクションです。スタンリー・クラークのベースと、ビリー・コブハムのドラムがしっかり押さえられているので、70年代のクロス・オーバーを代表するアルバムと言えるでしょう。
61位:グローバー・ワシントン Jr.(ワイン・ライト)
スムースジャズの先駆者
1980年に、ニューヨークで録音したアルバムで、特に聴き心地が良いことから、テレビやラジオのBGMとして使用されることも多い「スムースジャズ」の原点とも称されました。アルバムとして聴いていなくても、何らかのBGMで必ず聴いた事のある曲ばかりでしょう。初心者にも聴きやすいアルバムです。
一度は聴いたことがあるフレーズ
参加アーティスト
SAX:グローヴァー・ワシントン Jr.
VO:ビル・ウィザード
G:エリック・ゲイル
PERC:ラルフ・マクドナルド
KEY:ポール・グリフィン
KEY:リチャード・ティー
KEY:ビル・イートン
B:マーカス・ミラー
DS:スティーヴ・ガット
他
1971年のソロ・デビュー作「インナー・シティー・ブルース」のレコーディングの時に、同じソウル系サックス奏者ハンク・クロフォードの為のレコーディングセットにハンクが参加出来ず、グローヴァーが急遽呼ばれ、そのチャンスを見事モノにして、それ以来、グローヴァー・ワシントン Jr.はR&B系のサックス奏者としての不動の地位を築きました。
動画の「Just The Two Of Us」はシングル・カットされ、ビル・ウィザードのボーカルをフィーチャーして、ジャズチャートやR&Bチャートに留まらず、全米No.1を獲得する大ヒットとなりました。彼のメロウで流麗なサックスは、ジャズやフュージョンという枠を完全に飛び越えました。これほど初心者にも聴きやすく、メジャーなアルバムは数少ないでしょう。
60位:シェリー・マン(マイ・フェア・レディ)
ウエスト・コースト・ジャズトリオの傑作
アンドレ・プレヴィンのピアノを中心にしたトリオ編成で録音したジャズ史に残る大ベストセラーです。初心者向けピアノトリオの代表的名盤の何枚かのうちに必ず入るシェリー・マンの代表作『マイ・フェアレディ』は、クラシックの世界でも巨匠クラスなアンドレ・プレヴィンの「ピアノ名盤」でもあります。
映画音楽がジャズに変身
シェリー・マンのトリオがミュージカル「マイ・フェア・レディ」の曲を見事なジャズに変身させています。ジャズ初心者でも気軽に聴ける1枚です。最後に入っている「一晩中踊れたら」の、ラテンアレンジも面白く、あっと言う間に聴き終えてしまうほど収録時間の短いアルバムですが、短い時間の中には聴きどころは沢山あります。
1曲目からポピュラー・チューンですが、完璧なジャズになっていて、名手ドラムスのシェリー・マン とベースのリロイ・ビネガーという絶妙のサポートで白人のセンスと、ジャズ・フィーリングが見事に結実した名盤に仕上がっています。次々とピアノの妙技も聴かせてくれるし、シェリー・マンのブラッシュワークも心地よく、大満足のアルバムです。
59位:キャノンボール・アダレイ(キャノンボール・アダレイ・イン・サンフランシスコ)
兄弟でクインテット結成
1959年に録音されたライヴ盤で、弟のコルネット奏者ナット・アダレイとクインテットを結成したファンキー・アルトの決定盤です。マイルス・デヴィス・セクステットを抜けたばかりのキャノンボール・アダレイが、メンバーから必要なものだけを引き出してサウンドを作り上げていくという、マイルスの手法を取り入れて、ファンキーさに磨きをかけたようなライヴ盤です。
ファンキー・ジャズの元祖
この動画は、4曲目の「ユー・ガット・イット!」です。キャノンボール・アダレイのファンキーなサウンドは心地よいのですが、弟のナットも最初は控えめでしたが、だんだんノッてきて、兄に負けじと必死に吹いている姿が目に浮かびます。ボビー・ティモンズのピアノもかっこよくて、ルイ・ヘイズのドラミングは若々しくてパワーを感じます。
58位:ベニー・グッドマン(ライヴ・アット・カーネギー・ホール 1938)
スウィングの王様
30年代に一世を風靡したスウィング・ジャズのクラリネット奏者ベニー・グッドマンが1938年に開催したカーネギー・ホール史上初のジャズ・コンサートの完全盤です。自身のオーケストラだけではなく、デューク・エリントン楽団やカウント・ベイシー楽団のメンバーも招き、一大スウィング・セッションを繰り広げた名盤です。
編成自在
贅沢なアルバム
また、ベニー・グッドマン(CL)、テディ・ウィルソン(P)、ジーン・クルーパ(DS)のトリオ演奏、ライオネル・ハンプトン(VIB)が入ったカルテット。
さらに、ジョニー・ホッジス、レスター・ヤングなど、当時のスタープレイヤーも参加たりして、まさに贅沢なアルバムです。
ノイズが入るレトロ感満載で、当時、マイク1本で録音されたと言われます。ジーン・クルーパのドラムは迫力満点で、テディ・ウイルソンのピアノソロも素晴らしいし、超一流プレイヤーが集まってのジャムセッションは、二度と聴けない大切な宝物のようなアルバムです。
57位:マイルス・デイヴィス(リラクシン)
絶品のミュート・ソロ
この『リラクシン』は、同時期に録音された『クッキン』『ワーキン』『スティーミン』の4枚の中の1枚です。1956年の5月と10月に録音された曲を4枚のアルバムに分けて発売されました。低音で迫ってくるウォーキング・ベースと、素晴らしいドラミングという完璧なリズムセクションで構成されていますので、どのアルバムも大差は無いはずです。
会話も楽しめるアルバム
動画は4曲目の「オレオ」です。このアルバムの中では、曲と曲の合間にスタジオで交わされる会話が入っていますので、ジャズの初心者には、親しみやすいアルバムでしょう。一度弾き始めたガーランドのピアノをマイルスが口笛でストップさせたり、まるで、生でその場にいるような錯覚を思わせるようで、身体でジャズを感じれ、初心者でも自然と引き込まれるでしょう。
56位:ジム・ホール(アンフェラス協奏曲)
ジャズギターの巨匠
ジャズギターの巨匠ジム・ホールが、1975年に発表して、大ヒットとなったアルバムです。「アンフェラス協奏曲」とは、スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴの「ギターとオーケストラのための協奏曲」で、マイルス・デイヴィスが『Sketches of Spain』で採り上げたことからジャズでも広く演奏されるようになりました。
静かなジャズを好む人におすすめ
シンプルなジム・ホールのギターが、ストレートにジャズの香りを感じさせてくれます。リズムセクションも完璧で、チェット・ベイカーのトランペットも、ジム・ホールの力強い健全さに鼓舞されて、芯の通った凛としたプレイが冴えています。また、4曲目のアルバムタイトル「アランフェス協奏曲」のローランド・ハナのピアノは、曇り気のない澄んだトーンで美しい音色に感動します。
55位:キース・ジャレット(スタンダーズ Vol 1)
トリオ・ジャズの礎
スタンダード曲ばかりを集め、現代ピアノ・トリオの礎を築いたスタンダード・トリオの第1弾です。ライヴ盤が多い中、珍しいスタジオ録音盤です。自らのメロディーに高揚して思わず声が出てしまうのも、キースの魅力の一つでもあります。スタンダードでありながら、どこか新鮮さを感じるアルバムです。
メロディーのトリオ
ピアノの音色が非常にクリアで美しいメロディーを奏でるキースは、トリオのリズムセクションに、ゲイリー・ピーコックとジャック・ディジョネットを選んだのは、彼らも「メロディの人」だからだと語っています。確かにこの2人はピアノ演奏もします。なので、メロディーを分かっている人とアルバムを作りたかったというのが、2人を選んだ理由が分かります。
5曲目の「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」のライヴ映像ですが、スタンダードはいろんな人が演奏していますが、やはり、このキース・ジャレットのアルバムを好むファンが多いのも納得出来ます。トリオのコンビネーションは抜群で、リハーサルなしのレコーディングとは思えないほど完成度は高いです。ジャズのスタンダードを聴くなら、このアルバムがおすすめです。
54位:オーネット・コールマン(ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン Vol 1 , Vol 2)
ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.1
ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.2
1965年12月3日と4日のストックホルムクラブでのライヴを記録した2枚のアルバムです。2002年にCD再発行されたアルバムのどちらにも、未発表のボーナストラックが含まれています。参加アーティストは、どちらのアルバムも、オーネット・コールマン(AS、VN)、デイビット・アイゼンソン(TP、B)、チャールズ・モフェット(DS)のトリオです。
ライヴのMCから入る演奏は、3年間の休養後のライヴですが、動画は2曲目の「ヨーロピアン・エコーズ」です。休養中にマスターしたトランペットとヴァイオリンを駆使して、フリージャズのコールマンらしい演奏が続きます。ジャック・ディジョネットのドラムもとても軽快で聴きやすいです。でも、やはりコールマンはアルトサックスが似合います。
1曲目のコールマンのヴァイオリンが、なんともノコギリのような音で、やや耳障りなんですが、これがいわゆるフリージャズというものなのでしょう。トランペットも確かに上手く聞こえますがマイルスとはまた違う音色です。彼の型にはまらないヴァイオリンとトランペットの演奏は、かなり好き嫌いがはっきりと分かれるでしょう。
53位:キース・ジャレット(ウィスパー・ノット)
復帰後パリで収録
2年間活動が出来なかった時期から復活した1999年の7月5日に、最初の公演をパリで行なった時に収録された曲が、2枚のディスクに収められたアルバムです。パリでのライヴと言えば、1985年7月録音の「Standards Live」」(星影のステラ)が有名ですが、このアルバムもそれに並ぶくらいの作品です。
唸りのキース復活
動画はライヴ映像ですが、キースのシンプルで分かりやすいピアノは、アドリブ軽快に出て来ると、テンションはマックスに達し、何とも言えない唸り声が自然とこぼれます。中腰で何ともつらそうな体制でピアノを弾くのがキース流。テンションが上がっても、決して雑な演奏にはならず、よりアドリブが冴えてきます。
52位:ビル・エヴァンス(エクスプロレイションズ)
歴史に残るピアノトリオ
ビル・エヴァンス・トリオによる魅力たっぷりで、どれも聴き覚えのあるスタンダード集で、とても聴きやすい1枚です。マイルス自身の演奏は残されていませんが、6曲目の「ナーディス」はマイルス・デイビスが敬愛するビル・エヴァンスに贈ったオリジナル曲です。何度聴いても飽きの来ない、ピアノトリオの定番で、初心者にも親しみやすいでしょう。
インプロビゼーションが高評価
アルバム5曲目の「エルザ」ですが、ビル・エヴァンスの特徴でもある、トリオそれぞれの独自のアドリブを展開して干渉しあい、特にベースのスコットの新しいスタイルやドラムのポールのエヴァンスのインプロビゼーションに挑みかかるようなブラシ・ワークやシンバル・ワークで、旧来のリズムセクションの枠を超えたスタイルが心地よいです。
51位:マル・ウォルドロン(レフト・アローン)
ビリー・ホリデイ追悼盤
マル・ウォルドロンの名を決定付けた、アルバムタイトルの「レフト・アローン」は、マル・ウォルドロンが晩年の伴奏を務めたビリー・ホリデイに捧げたことで有名な曲です。このアルバムは、ビリー・ホリデイの追悼アルバムとして作成されました。
アルバム全体が心地よい
マル・ウォルドロンが「レフト・アローン」を作曲したのが1959年の春で、ビリー・ホリデイは、自ら作詞して好んで良く歌っていたそうです。ただ、ビリー・ホリデイが亡くなったのは、1959年の7月ですから、たった3ヶ月ほどしか無く、録音の機会もありませんでしたので、ビリー・ホリデイが「レフト・アローン」を歌った録音は残っていません。
ヴォーカルの代わりの旋律をジャッキー・マクリーンが哀愁たっぷりに演奏していますが、マル・ウォルドロンのピアノから滲み出る何か言いたそうで言えない、もどかしさのようなものが溢れています。ただ、「レフト・アローン」だけでなく、このアルバム全体がダークですが、トリオが一丸となって演奏していて、ビリーに対しての哀悼の意がヒシヒシと伝わってきます。
50位:チャーリー・パーカー(ナウズ・ザ・タイム)
ワンホーンの傑作
このアルバムは、2つのセッションから成っています。前半の1曲目「ザ・ソング・イズ・ユー」~6曲目「コズミック・レイズ (別テイク)」は1952年12月、7曲目「チ・チ (LP化時追加別テイク / テイク1)」~13曲目「コンファメーション」は1953年8月のセッションで、ニューヨークで録音されました。数々のアルトサックス奏者に影響を与えた名盤です。
2セッション
参加アーティスト
1952年のセッション
AS:チャーリー・パーカー
P:ハンク・ジョーンズ
B:テディ・コティック
DS:マックス・ローチ
1953年のセッション
AS:チャーリー・パーカー
P:アル・ヘイグ
B:パーシー・ヒース
DS:マックス・ローチ
チャーリー・パーカーは、いつもはトランペットなどホーンセクションを引き連れていますが、このアルバムではチャーリー・パーカーのみのワンホーンですので、チャーリー・パーカーをじっくり聴き込みたい方にはおすすめです。ジャズ初心者には、最後の曲「コンファメーション」から聴くと馴染めるかも知れません。
49位:ジョン・コルトレーン(マイ・フェイバリット・シングス)
ソプラノサックスで注目
コールトレーンが1曲目と2曲目にソプラノ・サックスを使用しています。タイトル曲の「マイ・フェイバリット・シングス」は、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」で、雷を怖がる子供達がマリア先生の部屋にやって来た時などに使われている、耳馴染みのある曲ですが、ジャズのスタンダードとしても有名です。
コールトレーンはテナーの人
ジャズの曲の中でも定番と言われるタイトル曲ですが、やはりコールトレーンはテナーサックスが似合います。ただ、ジャズ初心者にはとても馴染みやすいアルバムと言えます。コールトレーンはあまりアドリブを使いませんので、旋律もはっきりしていて聴きやすいでしょう。
1965年のライヴ映像ですが、マッコイ・タイナーのピアノが心地よいです。アルバムを全編聴くと、やはりコールトレーンはテナーだと確信します。決してソプラノがダメではなく、手にして間もない初心者っぽい吹き方が、美しいのですが、コールトレーンではない不思議な雰囲気が漂います。マイルス・デイヴィスのもとで鍛え上げられたコールトレーンは、ここでは見られません。
48位:ダラー・ブランド(アフリカン・ピアノ)
アフリカのソリスト
デューク・エリントンに見出されたダラー・ブランドは、1973年に、「アブドゥーラ・イブラヒム」という本名を「ダラー・ブランド」の名前でこのソロアルバム「アフリカン・ピアノ」をリリースします。そして1973年度スイング・ジャーナル誌のディスク大賞で銀賞を獲得しました。このアルバムの評価が日本でも高く、来日のきっかけとなりました。
ピアノソロでも飽きない
組曲なような曲の流れ
一応8曲になっていますが、一曲ごとが独立しているわけではなく、メドレーのように曲がつながっていて、ほとんど途切れ目はありません。
聴き終えた後は、スケールの大きな物語を鑑賞し終えたような充実感を覚えるアルバムです。ピアノをまるで太鼓を叩くかのように演奏し、アフリカを彷彿させるような個性的なサウンドです。
素朴なメロディラインかと思えばパーカッションのような打鍵と、変幻自在にピアノを操り、広大なアフリカの風景を描いているようです。ピアノソロは下手すると退屈になりがちですが、このダラー・ブランドのピアノは全く飽きが来ません。むしろ、そのピアノの美しさや強烈なアピールに引き込まれていくようです。
47位:レスター・ヤング(プレス&テディ)
ジャズファン定番の1枚
プレスとは、レスター・ヤングのニックネームですが、何故このアルバムのタイトルに2人の名前が付いているのか、アルバムを聴けば分かるでしょう。レスターの酒と麻薬でボロボロの身体になった晩年の作品ですが、このアルバムと『ジャズ・ジャイアンツ’56』は、そんなことを微塵も感じさせないほど、生き生きとしたレスターの演奏が堪能出来ます。
変幻自在のドラムが心地よい
アルバム1曲目の「オール・オブ・ミー」ですが、このアルバムのジョーンズは、主役によって叩き方が変わります。レスターがソロを取っている時には、シンバル一打一打が正確で力強いドラムですが、テディのピアノソロに変わると、いつの間にかブラッシュワークになっている手際の良さに感動します。ジャズファンの中では定番で、初心者にも聴きやすいですので、おすすめです。
46位:ジョン・コルトレーン(至上の愛)
黄金のカルテット
ジョン・コルトレーンが音楽生活の総てをかけて創り上げ、「承認」「決意」「追求」「賛美」という4楽章からなる大作の組曲です。コールトレーンの迫力は殺気立っているようです。収録時間がどちらかと言えば短いのですが、その時間はずっと緊張感を緩めることの出来ないアルバムだと評判です。
各ソロパートが素晴らしい
1964年に録音されたアルバムですが、今聴いても全く古さを感じず、パワーをもらいます。エルヴィン・ジョーンズのドラムが格好良く、メンバーみんなが全力を出しているのが分かります。少し宗教的で、敬遠される方もいますが、アルバムを聴くと、全くそんな宗教的な雰囲気はなく、映画のサントラを聴いているかのような錯覚を覚え、まさにカリスマ集団です。
45位:ジョン・コルトレーン(ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード)
究極のライヴ音源
1961年10月24日~11月5日の期間ほぼ毎日、ニューヨークのライヴハウス「ヴィレッジ・ヴァンガード」のステージに立っていたコールトレーンの、11月2日と3日の演奏を抜粋して収録されたアルバムです。1曲目の「スピリチュアル」は、バス・クラリネットのエリック・ドルフィーを交えたクァルテットで、黒人霊歌をモチーフにした曲です。
ステージを見ているかのよう
参加アーティスト
TS、SS:ジョン・コルトレーン
B.Cl:エリック・ドルフィー(1曲目)
P:マッコイ・タイナー(1曲目と2曲目)
B:レジー・ワークマン(1曲目と2曲目)
B:ジミー・ギャリソン(3曲目)
DS:エルビン・ジョーンズ
アルバム3曲目の「チェイシン・ザ・トレーン」は、ピアノレス・トリオでコルトレーンが吹きまくる、迫真のステージが目に浮かびます。官能的で、熱くて、激しく、自分の音楽を貫く姿を音で訴えているようです。いつまでも拍手が鳴り止まないのは、やはりライヴだからこその醍醐味です。
44位:ジェリー・マリガン(オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット)
ピアノレス・カルテット誕生
ジェリー・マリガンとチェット・ベイカーの「ピアノレス・カルテット」が結成された初期の名盤です。1952年~1953年に、ロサンジェルスで録音され、西海岸を代表するウェストコースト・ジャズの代名詞でもあるパシフィックジャズがスタートしたきっかけにもなったアルバムです。
ウエストコースト・ジャズの名盤
この編成が生まれたのは、ほんの偶然で、当初のマリガンのグループは、ジミー・ロウルズも参加していた「ピアノ付き・クインテット」でしたが、ジミーがリハーサルにいつも少し天然のガールフレンドを連れてきて、マラカスを振ってリハーサルを邪魔するので、ジミーを呼ばずにリハーサルをすると、邪魔もなく、これが思ったより良い感じだったので、ピアノ抜きの編成になったようです。
アルバム6曲目の「フリーウェイ」です。ジェリー・マリガンのバリトン・サックスは、アルトやテナーと違ってジャズ界では珍しいですが、とても心地よいです。ハミルトンのブラッシュ・ワークも粘りつくようで、チェット・ベイカーのトランペットとの絶妙なコンビネーションも最高です。
43位:ハンク・モブレイ(ソウル・ステーション)
人柄が音色に出るハンク・モブレイ
1960年2月に録音された、ハンク・モブレイが残したアルバムの中でも、最大の人気作といわれる一枚です。ハンク・モブレイの控えめな語り口や、慎み深くどこか一歩引いた奥ゆかしいテナーの音色に、ポール・チェンバースのベースとアート・ブレーキーのドラムという、最高のリズムセクションをバックに、モブレイの素晴らしさが堪能出来る作品です。
最高のリズムセクション
伸びやかに、暖かいトーンを奏でるモブレイに、軽やかで小気味の良いウイントン・ケリーのピアノで、リズムセクションは、安定して力強い、チェンバースのベースとアート・ブレイキーのドラミングが支えています。気軽に聴けるアルバムの中のひとつです。
42位:マイルス・デイヴィス(ラウンド・アバウト・ミッドナイト)
ジャズ史上に輝く奇跡の一枚
マイルス・デイヴィスが自身のバンドを率いてジャズのハードバップスタイルを確立させた、歴史的アルバムです。まだ駆け出しのジョン・コールトレーンをサックスに起用して、ハードボイルドな雰囲気で、リラックスした演奏、リズムの勢い、哀愁など、マイルスらしい、ジャズならではのおいしいエッセンスが凝縮されています。
ミュートが泣ける
映画「ラウンド・ミッドナイト」のオープニングにも使われた、1曲目の「ラウンド・ミッドナイト」は、ミュートが切なく何とも哀愁を帯びていて、この曲がこのアルバムを特徴づける決定的なものとなっていますが、1曲目だけではなく、他の曲もマイルスの色々な表情を見せてくれる最高の仕上がりです。ジャズファンとしては、1枚持っていたいアルバムです。
41位:ビル・エヴァンス(サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード)
伝説のピアノトリオ
1961年6月25日に至高のピアノ・トリオの頂点を刻んだニューヨーク名門クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライヴ録音です。ベーシストのスコット・ラファロがこのライヴの直後に亡くなったので、追悼盤としてベスト100の41位「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」が先に、残りの録音がベスト100で第1位の「ワルツ・フォー・デビイ」として後に発売されました。
三者対等のインタープレイ
10曲目の「オール・オブ・ユー(テイク3) 」ですが、静かで優しいエヴァンスのピアノに名手ラファロのしなやかで美しいベースワークがよりいっそう際立ち、モティアンのブラッシュ・ワークも絶品で、お互いを触発することでトリオの演奏は限りなく発展していきます。日曜日の客数がまばらな中での演奏とは思えないくらい、エネルギッシュです。
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング40位~21位
名曲ベスト100のランキング40位~21位
ここのランキングに入ってくる曲は、スタンダードからファンキー、フュージョンなど、あらゆるジャンルのジャズが入って来て楽しいです。
では、名曲ベスト100の中のランキング40位から21位までです。
40位:バド・パウエル(ザ・シーン・チェンジズ)
名曲を含む名盤
モダン・ジャズ・ピアノの神様バド・パウエルの復活盤です。1曲目からいきなり不滅の名曲 「クレオパトラの夢」 で幕を開けます。バド・パウエルの右手の高速テンポは有名で、単調なメロディにもドライブ感が加わるので、熱がこもるほどヒートアップして声が聞こえるのもパウエルの特長です。
控えめなリズムセクション
大御所パウエルのバックだからか、リズムセクションに緊張感が感じられます。その空気感にパウエルの無心なピアノがブレンドされ、名盤独特の雰囲気が醸し出されています。ベースもドラムも控えめで、決して表に出ないのがパウエル好みなのでしょう。
39位:ソニー・ロリンズ(ソニー・ロリンズ Vol 2)
歴史に残ったジャズの音
絶好調のロリンズが、創造力のピークに達したロリンズの魅力を存分に捉えた1枚です。剛腕かつ繊細な歌心の持ち主のソニー・ロリンズと、豪放さと繊細さが同居したパワーの持ち主アート・ブレーキーの、似たもの同士の2人が作り出すこのコンビネーションは、聴き応えがあります。
豪華メンバー勢揃い
ロリンズとブレーキーだけでなく、トロンボーンのJ.J.ジョンソンも熱い演奏で、ノリノリです。動画の3曲目「ミステリオーソ」と4曲目の「リフレクションズ」は、セロニアス・モンクのオリジナルで、ホレス・シルヴァーとセロニアス・モンクが一つのピアノを分け合って弾いています。タイプの違う弾き方なので、2人の個性を把握していれば聴き分けられるでしょう。
38位:ジャコ・パトリシアス(ワード・オブ・マウス)
作曲とアレンジの渦
ウエザー・リポートが最も輝いていた1980年代に、ジャコ・パストリアスが在籍し、録音した2枚目のソロアルバムです。このアルバムの録音方法は、最初にジャコが打ち込みベースとドラムだけを作り、そこに他のメンバーが演奏を重ねていくという珍しい形態です。なので、ジャコは作曲やアレンジ、音楽監督など総ての力を出し切っています。
ベースの自動演奏
参加アーティスト
EB-B、VO:ジャコ・パトリシアス
HATM:トゥーツ・シールマンス
TP:スヌーキー・ヤング
FLH:ピーター・ゴードン
TB:ジェームス・E・プー
TS:ウェイン・ショーター
REEDS:ジョージ・ヤング
KEY:ハービー・ハンコック
DS:ジャック・ディジョネット
他
ジャコのベース・テクニックもさることながら、アレンジの能力に長けた人だというのが良く分かります。1曲目から、ベーシストのジャコが、ベースを弾かずにベースの自動演奏だというのも面白いです。また、動画ではライヴですが、アルバムの2曲目、トゥーツ・シールマンスが奏でる「スリー・ヴューズ・オブ・ア・シークレット」のハーモニカも素敵です。
37位:チャーリー・パーカー(チャーリー・パーカー・オン・ダイアル Vol 1)
絶頂期西海岸時代の名演集
1946年~1947年の録音まで、この時代のパーカーの西海岸での足跡を忠実にたどることができます。パーカーの絶頂期のひとコマをとらえた貴重な音源ではあるのですが、絶不調な「ラヴァー・マン」や「ザ・ジプシー」も収録されていて、パーカーというサックス吹きの様々な側面を垣間見ることが出来る興味深いドキュメント音源でもあります。
賛否両論「ラヴァー・マン」
8曲目の「ラヴァー・マン」と9曲目の「ザ・ジプシー」は、記録によると、立っていることがやっとだった虚脱状態パーカーの足元もふらつき、マイクから次第に遠ざかって演奏をしていたため、スタッフたちに身体を支えられながら、やっとの思いで録音されたそうです。しかし、そのような状態の中からも繰り出される、気だるいフィーリングには不思議と胸を打たれます。
36位:ハービー・ハンコック(スピーク・ライク・チャイルド)
子供、少年がテーマ
ハービー・ハンコックは、アルバムによって内容が一変しますが、1968年に録音されたこのアルバムは、新主流派の新人として期待が高まっていた時代の作品です。ハービー・ハンコックが子供、少年をテーマに作曲したナンバーを収めたアルバムです。ホーンがピアノに色を添えるというピアノトリオにブラスを追加した演奏です。
ピアノ+3管アンサンブル
ピアノ・トリオを中心に、そのバックにフリューゲルホーン、ベース・トロンボーン、アルト・フルートの3管アンサンブルがピアノを引き立てます。やはり子供がテーマなので、とても優しい音色が印象的です。ハービーのアレンジには、当時マイルス・ディヴィスのバンドに在籍していたこともあり、ビル・エヴァンスの手法を自己流にアレンジしていて心地よいです。
35位:キース・ジャレット(メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー)
キースの病からの復帰作
1998年12月にキース・ジャレットが、ソロとしては初のスタンダード曲集です。このアルバムは、慢性疲労症候群という病気のため、しばらく活動を休止していたキースの復帰作です。彼の自宅のスタジオで録音された演奏で、1999年度のスイングジャーナル主催第33回ジャズ・ディスク大賞の金賞を受賞しています。
ピュアな音色が心地よい
総ての曲がスローテンポです。動画は、キースが来日した時に弾いたアルバム1曲目の「 I Loves You Porgy」です。キース特有の、天空に全速力で昇りつめるような飛翔感はなく、アンニュイな雰囲気を醸しだします。優しく、静かに穏やかで、一音一音を大切に弾いているキースには、邪念などどこにもない、とてもピュアな音色に引き込まれます。
34位:ケニー・ドーハム(静かなるケニー)
情緒漂う美しいメロディ
1959年11月13日の録音で、微妙な陰影があるような、しとやかな情緒感漂う美しいメロディが、地味ではありますが、心に浸みます。ケニーは、初代ジャズ・メッセンジャーズのトランペッターを勤めた経験もありますので、技術的には高い位置にいますが、彼の独特な音色が彼ならではの味わいなのでしょう。
心に浸みる音色
1曲目の「蓮の花」は典型的なハード・バップチューンですが、抑制の効いたソロとつややかな音色で、ケニーの好調さがうかがえます。「静かなるケニー」というタイトル自体が、ケニー・ドーハムの本質を的確に表現していると思われます。決して派手さはありませんが心に残るアルバムです。
33位:アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(モーニン)
ファンキー・ジャズ・ブームの火付け役
世界中にファンキー・ジャズ・ブームを巻き起こした名盤です。メンバー・チェンジが多かったメッセンジャーズですが、このアルバムを作りに当たって、新加入したサックス奏者のベニー・ゴルソンが、メンバーの人選や、大半の楽曲を作るという、音楽監督の役割を果たし、4曲目の「ドラム・サンダー組曲」では、ブレーキーのドラムを前面に押し出す曲を作りました。
最高のライブ感
動画は珍しい当時のライヴ映像です。これぞファンキー・ジャズというライヴ感満載です。ジャズを初めて聴く人には、このアルバムを薦めるのが定番です。特に、当時20歳の新進トランペッター、リー・モーガンは、全く怖いもの知らずかと思うほど、スリリングなフレーズと、ブリリアントな音色で、グループを華麗に際立たせています。ジャズ初心者には是非最初に聴いてほいしアルバムです。
32位:スタン・ゲッツ(スタン・ゲッツ・プレイズ)
白人テナーの最高峰
「星影のステラ」「アラバマに星落ちて」などのスタンダードナンバーを、丁寧で美しく、新鮮なメロディにしてジャズ界に持ち込んだ、スタン・ゲッツの1952年収録のアルバムです。スタン・ゲッツの奏法は、瞬間的に音を紡いて、メロディアスなアドリブを展開するあたりは、澄んだ音で、ヴィブラートをあまりきかせないレスター・ヤングの影響を受けたようです。
スタンダードが新鮮
動画はアルバム1曲目の「星影のステラ」です。この頃のゲッツは、心身ともに充実していて、力がありながら歌心のある演奏にあふれているのですが、語り過ぎないちょうどいい具合の演奏で、飽きが来ません。理屈抜きで、純粋にゲッツのテナーが吹き綴る、メロディーを楽しむべきアルバムです。ほのぼのとしたジャケットも素敵です。
31位:キース・ジャレット(星影のステラ~スタンダーズ・ライブ)
キース流スタンダード
1985年にキース・ジャレット・トリオによる、初のライヴ盤です。スタンダードと言っても、全く古くささはなく、まるで新しい曲のように聞こえます。絶妙なインタープレイは美しいアプローチで進行し、スタンダード・ソング1曲1曲に新しい息吹をもたらしています。
絶品のスイング
美しくスピリチュルなキースのピアノ、伸びのあるピーコックのベース、力強く的確なディジョネットのドラムが、有機的に絡み合い、響き合い、溶け合い、ぶつかり合い、曲が波打ち砕け、再構築されて、流麗で甘く先鋭的な新たな曲に生まれ変わって、心地よいです。
30位:ウェザー・リポート(ヘヴィー・ウェザー)
ジャズ・フュージョンの先駆け
ウェザー・リポートは、マイルス・グループに在籍していた ウェイン・ショーターと、ジョー・ザヴィヌルの2人が中心となり、1971年に結成されたジャズ/フュージョン・バンドで、天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスが加わり、このアルバムが完成しました。1977年のジャズの「アルバム・オヴ・ザ・イヤー」を獲得しました。
定番ジャズが難しい人におすすめ
動画はアルバム2曲目の「A Remark You Made」のライヴバージョンです。ガチガチなジャズおたくの方には、あまり好まれない傾向がありますが、フュージョン系の好きな方にはハマるでしょう。エレクトリック・ジャズ・バンドですから、好みがはっきり分かれるようです。ジャズを難しいと考えておられる方達にはおすすめです。
29位:セロニアス・モンク(ブリリアント・コーナーズ)
密度が濃く多彩な楽曲群
1957年に発表したモンクの代表作に挙げられるアルバムです。不協和音を多用したイントロ、7小節単位の展開、頻繁なテンポ・チェンジといった、多彩な曲の集まりでモンクの独特の味わいのあるアルバムです。ソニー・ロリンズとアーニー・ヘンリーのサックスの二重奏に加え、モンク特有の不協和音のピアノが加わることで、何とも重圧な不思議な世界へ引き込まれます。
妖しさ満載
参加アーティスト
Track 1-3 1956/10/09 & 15
P・CELESTE:セロニアス・モンク
AS:アーニー・ヘンリー
TS:ソニー・ロリンス
B:オスカー・ペティフォード
DS:マックス・ローチ
Track 4-5 1956/12/07
P:セロニアス・モンク
TP:クラーク・テリー
TS:ソニー・ロリンス
B:ポール・チェンバース
DS:マックス・ローチ
動画はタイトル曲の「ブリリアント・コーナーズ」ですが、アーニー・ヘンリーのアルトサックスがなんとも妖しげな音色を醸し出しています。特にモンクのピアノと混ざることでその妖しさが倍増します。このアルバムが名盤と言われる理由は、サンドマンたちの個性を発揮させながら、モンクカラーをしっかりと出していることでしょう。
28位:スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト(ゲッツ~ジルベルト)
ボサノヴァブームの火付け役
ボサノヴァを広めたのはこのアルバムの影響も大きいと言えるでしょう。豊穣なハーモニーをさり気なく奏でるギターとピアノは、落ち着いた空間を形作って埋めすぎず、弾きすぎないちょうどいい案配で届きます。スタン・ゲッツの柔らかいテナーの音色は、クール派と言われていた頃とは、ひと味違います。
「イパネマの娘」が大ヒット
参加アーティスト
TS:スタン・ゲッツ
G・VO:ジョアン・ジルベルト
P:アントニオ・カルロス・ジョビン
B:トミー・ウィリアムス
DS:ミルトン・バナナ
VO:アストラッド・ジルベルト(1曲目と5曲目)
動画はアルバム1曲目の「イパネマの娘」を歌うジョアン・ジルベルトの妻アストラッド・ジルベルトです。歌声が、何とも素人っぽくて、親しみやすいのですが、聞くところによると、ブラジルの曲に英語の歌詞をつけたのが歌えるからと、試しに歌っただけの事が、彼女を「ボサノヴァの女王」とまで押し上げたという話です。
27位:マイルス・デイビス(ビッチェズ・ブリュー)
巨大なマイルスワールド
エレクトリック・ジャズ路線を推し進めフュージョンのジャンルを確立した名作品です。スケールが大きすぎて理解しにくいかと思いますが、構えて聴かず、淡々と聴き流すべくアルバムでしょう。このアルバムには贅沢なメンバーが勢揃いし、渾然一体となって、一つの大きなサウンドの塊となっていますので、評価されています。
豪華メンバー
参加アーティスト
TP:マイルス・デイヴィス
SS:ウェイン・ショーター
P:チック・コリア
P:ジョー・ザヴィヌル
G:ジョン・マクラフリン
B:デイヴ・ホランド
B:ハーヴェイ・ブルックス
DS右:ジャック・ディジョネット
DS左:レニー・ホワイト
BCL:ベニー・モウピン
P:ラリー・ヤング
DS:ドン・アリアス
OERC:ジム・ライリー
動画はアルバムタイトルの「Bitches Brew」のライヴバージョンですが、それぞれのアーティストが、自分の持つ総てをかけて、大きな空間に絵を描くような演奏です。その中でもマイルスはしっかりと存在感を表し、マイルスワールドを築き上げています。何も考えずにただサウンドに浸るのが一番自然な聴き方かも知れません。
26位:ジョン・コルトレーン(ジャイアント・ステップス)
軽やかに弾むコールトレーン
マイルス・ディヴィスのサイドマンから独立して、自らのジャズスタイルを模索している中で、ついに新時代のテナーサックス奏者コルトレーンの革新性が明らかになり、自信を持ってアルバム製作を行なったのが、垣間見える作品です。コールトレーンの音色は、何の迷いもないかのようにアドリブの基本原理となるコードチェンジを極限まで押し進め、軽快に飛ばします。
絶好調のコールトレーン
参加アーティスト
TS:ジョン・コルトレーン
P:トミー・フラナガン(6.8.9.10.を除く)
P:ウィントン・ケリー(on 6.)
P:シダー・ウォルトン(on 8.9.10.)
B:ポール・チェンバース
DS:アート・テイラー(6.8.9.10.を除く)
DS:ジミー・コブ(on 6.)
DS:レックス・ハンフリーズ(on 8.9.10.)
動画は当時のアルバムタイトル「ジャイアント・ステップス」のライヴバージョンです。高音域のテナーの音色が美しいです。圧倒的なコードチェンジの嵐を手際よく熟して次々と素晴らしいフレーズで進めて行くコールトレーンの技術は相当上がっていると言われます。
25位:アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ)
ライヴ盤の醍醐味
絶頂期のアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがパリのジャズ・クラブ「サンジェルマン」で行なわれたライヴを3枚のディスクに収録しています。1958年のライヴですが、かなりダイレクトに客席の声まで収録されています。全員一丸となって突進する演奏は、まさにライヴならではの魅力でしょう。
若き時代のジャズ・メッセンジャー
クラブ・ミュージックとしてのジャズのファンキーさが全開です。この音源が日本でも知られ大ヒットし、空前のファンキー・ブームが起きました。テナーサックスのベニー・ゴルソンは、この翌年メッセンジャーを脱退し、後任にハンク・モブレイ、ウェイン・ショーターが入り、「チュニジアの夜」のブレーキーの長いドラムソロのリメイク盤が親しまれるようになります。
24位:クリフォード・ブラウン(クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ)
名曲・名演揃い
トランペットのクリフォード・ブラウンと、ドラムのマックス・ローチのクインテットですが、何枚かアルバムを出していますが、このアルバムが最も高評価のようです。何の変哲もないブルースを、立体的で奥行きのあるアレンジに構築しているバンドの体制が素晴らしいです。初心者にも是非おすすめしたい1枚です。
絶妙のコンビネーション
動画はアルバムの3曲目「ザ・ブルース・ウォーク」ですが、クリフォード・ブラウンのトランペットは、明るく、ハリと厚みがあって、流れるようなメロディで心地よいです。また、パド・パウエルの実弟のリッチー・パウエルのテナーも素敵です。マックス・ローチのドラムは、効果的にメロディを浮かび上がらせるドラミングで、微妙な調整も完璧です。
23位:キース・ジャレット(ケルン・コンサート)
美しい即興演奏
このアルバムは、最初から最後まで何の譜面も用意せずに、キースが即興演奏したと言われています。クラシックにも匹敵するような美しいメロディが心を癒してくれます。要所要所に盛り上がりを設けて、そこに至るまでの経緯をキースが何を考えてマックスに持ってくるのかなど、妄想を膨らませながら聴くのも楽しいです。
聴けば分かる良さ
美しい音色の中に、キースならではの唸り声と足踏み音も聞こえます。これでこそキースだと安心して聴けます。このアルバムを聴きながら、あれこれとこれほど妄想力が働くドラマティックなソロピアノも珍しいでしょう。落ち着いて聴いて頂けるときっと良さが浸みるはずです。
22位: ヘレン・メリル(ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン)
ニューヨークのため息
1954年に録音された、ハスキーヴォイスのヘレン・メリルは、「ニューヨークのため息」と称され、このアルバムの2曲目「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」においては、あまりにも有名で、誰もが口ずさめる曲になりました。ハスキーヴォイスにクリフォード・ブラウンのトランペットがピッタリとはまり、アレンジは、クインシージョーンズが手がけています。
クインシージョーンズのアレンジ
参加アーティスト
VO:ヘレン・メリル
TP:クリフォード・ブラウン
FL:ドニー・バンク
P:ジミー・ジョーンズ
G:バリー・ガルブレイス
B:ミルト・ヒントン
B:CELLO:オスカー・ペティフォード
DS:オージー・ジョンソン
DS:ボブ・ドナルドソン
ARR:クインシージョーンズ
動画はアルバム2曲目に入っている有名な「You'd be so nice to come home to.」です。バラードに威力を発揮するヘレン・メリルの声の、英語の発音も日本人にも分かりやすく、親しみを感じます。ハスキーな声は、聴けば聴くほど柔らかさが滲み出てきます。アップテンポの曲は、元気にはじけていて、聴いている側もつられます。
21位:リー・モーガン(キャンディ)
唯一のワンホーン
天才と呼ばれた「リー・モーガン」のブルーノート6枚目のリーダー作です。リー・モーガンのリーダーアルバムの中でも唯一ワンホーンの収録です。リー・モーガンの鋭い音色やスリリングなアドリブが炸裂します。当時19歳のリー・モーガンが、最高のリズムセクションと共に創り上げたアルバムです。
可愛さの中に意気込みが溢れる
動画はアルバム3曲目「C.T.A.」です。タイトルの「キャンディ」もかわいい曲ですが、モーガンはミュートを一切使いません。アート・テイラーのドラムも、最初は軽快なブラッシュワークですが、だんだん遠慮無く叩きまくるのが面白いです。ソニー・クラークのピアノソロもメリハリが効いていて、好サポートだと感じます。
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング20位~11位
名曲ベスト100のランキング20位~11位
ここのランキングに入ってくる曲は、ジャズファンの間ではお馴染みの定番の巨匠たちが顔を揃えます。では、名曲ベスト100の中のランキング20位から11位までです。
20位:ソニー・ロリンズ(ウエイ・アウト・ウエスト)
初のピアノレス・トリオ
1957年に録音したロリンズ初のピアノレス・トリオの作品です。ソニー・ロリンズが、マックス・ローチ・クインテットで西海岸に赴いた際に、レイ・ブラウンとシェリー・マンを加えて録音したのがこのアルバムです。スタンダードのほか、古い西部劇映画の曲や、エリントンの曲、そしてロリンズのオリジナルなどが演奏されていますが、どれもが、大らかでリラックスした雰囲気の演奏です。
完璧なリズムセクション
動画はアルバムの最後に入っている「Way Out West」の別テイクです。レイ・ブラウンに、シェリー・マンという実力派をリズム・セクションに配しているだけあって、リズムの良さは抜群です。安定したリズムに乗って、朗々とサックスで歌うロリンズは、いかにも楽しげです。
ベストトリオ
ソニー・ロリンズ「ウェイ・アウト・ウエスト」なう。ベードラ、サックスのトリオ編成で、「サキソフォン・コロッサス」を思い出して久しぶりに聴きたくなり買ったもの。ベースがレイ・ブラウンってのも大きかった。やっぱりトリオ編成の個々の演奏が際立った名演。
— タスリンチ@断酒4年目 (@youth_712) October 10, 2010
前年にリリースされた通称「サキコロ」の「サキソフォン・コロッサス」と並ぶ名盤という定評があり、ジャズ・ファンの中にはこちらを第一に推す人も多いようです。このアルバムはたった1日で録音されたということからも分かるように、当時がロリンズの絶頂期だったと言えるでしょう。そしてこのトリオは最高のリズムセクションで、それぞれが才能をフルに発揮しています。
19位:ソニー・ロリンズ(ヴィレッジ・ヴァンガードの夜)
ジャズ界の王者
1957年11月3日、ニューヨークのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」で行われた演奏が、2枚のディスクに収録されいるライヴ盤です。午後の部と夜の部の演奏で、それぞれバック・バンドが違うのですが、いずれもサックス・ベース・ドラムの3人編成です。
エルビン・ジョーンズと初共演
昼のセッションは当時のレギュラー・メンバー、夜の部はレコーディングのためのスペシャル・ユニットです。エルビン・ジョーンズのドラムが、後ろでサラリと凄い事をやっているのに気を取られてしまいます。ライヴ盤ならではの会場の音も入って臨場感が溢れます。サックスとドラムの掛け合いも聴き所です。
レジェンドは今も健在
ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』、朝っぱらでも真昼間でも、当然真夜中でも爆音中。
— 青井 夏希@ホシミタウン (@rickenbk) December 18, 2018
ロリンズが27歳の時のライブだけど、貫禄がすげー。
あと今年88歳という、ジャズメンとしては奇跡的な長寿さに、マイルス以上のリビング・レジェンドを感じますな。 pic.twitter.com/wQDJteMzvl
確かにジャズプレイヤーは短命という印象が強いですが、このソニーロリンズは、2005年、活動を縮小することを発表しましたが、その直後に来日したりして、今も元気にライヴ活動を続けています。2001年9月11日の同時多発テロでは、わずか6ブロック先の場所であの事件を目撃し、すぐ後の9月15日のボストン公演はキャンセルせずに敢行し、音楽の素晴らしさや美しさについて改めて力説したとのことです。
18位:オスカー・ピーターソン(プリーズ・リクエスト)
馴染みの定番集
鍵盤の皇帝と称されるオスカー・ピーターソンが、ファンからのリクエストに応えて、1964年10月にニューヨークで録音されたアルバムです。スタンダードやボサノヴァなど、ジャズの定番と言われる名曲ばかりです。ジャズピアニストの優等生でもあるオスカー・ピーターソンは、どの曲もさらりと流しています。
究極のトリオ
このトリオは定番中の定番で、動画は、アルバムの2曲目「Days Of Wine And Roses」です。ジャズ初心者には一番入りやすいアルバムでしょう。お店で流れていても、BGM的として決して会話の邪魔にならないピアノは、オスカー・ピーターソンの持ち味でしょう。全く気負わずリラックス感が漂うオスカー・ピーターソンのピアノは素晴らしいです。
ジャズ入門盤
オスカー・ピーターソンのプリーズ・リクエストはいつ聴いても素晴らしいアルバムだなあ…ジャズの定番が気持ちよく流れて、ムシャクシャしてることを全部忘れさせてくれる。初めてジャズを聴く人にはこういうのを薦めたいと思う。
— ようぞう (@yozoozoy) April 5, 2011
多数のアーティストが演奏している定番の曲が多いですが、オスカー・ピーターソンのピアノは、何故か心地よい気分になるのは共通のようです。このアルバムからジャズに関わるという人も確かに多いようです。
17位:ハービー・ハンコック(処女航海)
テーマは海の広さと威厳
マイルススクールで育った若き獅子のハービー・ハンコックにとって、生涯の大傑作のアルバムでしょう。ハービー・ハンコックは、60年代、マイルス・ディヴィス・クインテットの一員として頭角を現し、その後、自らがリーダーとなり海をテーマにした開放的な音の響きをジャズグループで表現しようとしました。
新主流派ジャズの面々
動画はタイトル曲「処女航海」のライヴバージョンです。海がテーマと言うだけあって、音の壮大さは凄く伝わってきます。ソロのアドリブも冴え渡り、自由に伸び伸びと演奏している姿が窺えます。「海に出てから台風に遭遇して自分をちっぽけな存在と感じ、それでも生命力を信じて戻ってこれて良かった」というストーリーが見事に音で表現されています。
マイルスに育てられたリズムセクション
#ハービー・ハンコック 時代によって目まぐるしくスタイルを変えてきたハービー・ハンコック。重たくてシリアスなのがカッコいいジャズとされていた時代に“処女航海”を引っ提げて登場した時、そこに新鮮な風が吹いているのを感じたはずだ。古い音源だけど、今聴いても決して色褪せてはいない。 pic.twitter.com/GAneqD2HSE
— バートルビー (@bartleby2018) September 6, 2018
ハービー・ハンコックもロン・カーターも、トニー・ウィリアムズも、マイルス・デイヴィスの、「黄金クィンテット」のメンバーで、志向を同じくしたメンバーの音作りは、一部の隙もありません。それほど完成度は高く、特にフレディ・ハバードのトランペット抜きでは、このアルバムは語れません。
16位:チャーリー・パーカー(チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ Vol 1)
同じ曲の別テイク
1944年9月15日と1945年11月26日のスタジオ録音で、Vol.1~Vol.7まである内の、最初のアルバムです。スタジオでは、気に入るまで同じ曲の別テイクを連続して数回の演奏を行い、何かしらの選択基準で一つがSP盤(シングル盤相当)で世に出ていたのですが、選択基準から洩れたテイクにも優れた演奏もあります。
マイルスの初期
参加アーティスト
(1)~(12)
AS:チャーリー・パーカー
PF:クライド・ハート
G、VO:タイニー・グライムス
B:ジミー・バッツ
DS:ハロルド・ウエスト
録音:1944年9月15日
(13)~(28)
TP:マイルス・デイヴィス
TP、PF:ディジー・ガレスピー
AS:チャーリー・パーカー
PF:サディク・ハキム
B:カーリー・ラッセル
DS:マックス・ローチ
録音:1945年11月26日
早吹きのパーカーが先導
全曲通しての動画は公開されていないようですので、1曲目の「Tiny's Tempo (Take 1)」を掲載してみました。動画にはありませんが、アルバムの中の14曲目「BILLIE`S BOUNCE-1」などは、マイルスの初期の演奏は新鮮です。パーカーとのアンサンブルもスピード感があって軽快です。
まだレコードだったが、この一枚でチャーリー・パーカーに目覚めました・・。
確かにこの時代はレコードでしょう。CDになると音質は良くなるとは思いますが、雰囲気まで変わってしまうようで、残念です。パーカーのサックスの早吹きのテクニックは素晴らしいですし、リズムセクションも安定していて、聴きやすいです。
15位:ウェス・モンゴメリー(フル・ハウス)
独特な演奏法が魅力
オクターブ奏法や、コード奏法を開拓した偉大なギタリスト、ウェス・モンゴメリーのライヴ盤です。テナーサックスのジョニー・グリフィンとの掛け合いがライヴセッションとは思えないまとまりもあり、スインギーなピアノの音色を聴かせるウィントン・ケリーもサンドマンを務めるなど、ウェス・モンゴメリーのギターの魅力が引き出された完成度の高いアルバムです。
ライヴセッションらしくない完成度
タイトル曲「Full House」の貴重なライブ映像です。それぞれが熱を帯びていて、客席の興奮も伝わってきます。ウィントン・ケリーのピアノもジミー・コブのドラムも最高に弾んでいます。ウェス・モンゴメリーのギターはピックを使わず指で紡いでいるので、音色がとても柔らかく、温かみを感じます。
臨場感満載
ウェス・モンゴメリー(g)の「フルハウス」。「インクレディブル・ジャズ・ギター」、「ボス・ギター」と並び称される大傑作。ここではウェスのギターに煽られるようにテナーを吹きまくるジョニー・グリフィンが素晴らしいです。こんなに良かったっけ?
— ken akasaka (@kenakasaka1969) December 22, 2011
ジョニー・グリフィンのサックスには華があります。ソロのあとの拍手は自然に出ているようです。気分を高揚させる魅力があって、ピアノもギターもベースもドラムも全てが絡み合って最高の1枚です。オクターブ奏法もシングルノートも冴えまくって流石に名盤と言われるだけあるアルバムです。
14位:エリック・ドルフィー(エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1)
「ファイヴ・スポット」ライヴ盤
1961年、エリック・ドルフィーの代表作で「ファイヴ・スポット」でのライヴ録音盤です。エリック・ドルフィーの演奏は、狂喜乱舞という言葉がピッタリとくるくらい、激しいフレーズが続きます。決して誰も真似の出来ない独特のフレーズを吹きまくります。また、ブッカー・リトルのトランペットは、どこか投げやりのような感じも窺えます。
時代の息吹を感じる
動画の曲は1曲目の「Fire Waltz」です。アルト・サックスの他にバス・クラリネット、フルートも思うままに演奏し、それぞぞれの楽器の特性を活かしたソロはドルフィー以外に熟せる人はいないでしょう。バス・クラリネットの音色は、聴き慣れないとなかなか理解出来ないかも知れません。
名コンビ
『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1』。61年NY収録。ブッカー・リトルとの双頭クインテット。コルトレーンとの共演盤とはちがう空気がはりつめている。マル・ウォルドロンが『レフト・アローン』とは別人28号。 #ライブ盤ほぼ毎日1枚ずつきいてくよ #54
— Chiaki (@chiaki25) February 27, 2015
不思議なジャズとでも言うのでしょうか。エリック・ドルフィーの長いソロやブッカー・リトルの叫びのようなペットの音には、鳥肌が立ちます。ドルフィーの音色が鋭くなればなるほど、リトルの音色は切なさが増すという、抜群のコンビネーションです。2人とも若くしてこの世を去っていますが、フリー・ジャズに伝統的なスタイルが残りました。
13位:マイルス・デイヴィス(クッキン)
マラソンセッション
マイルス・デイヴィスが大手レコード会社CBSと契約したため、契約中だったプレスティッジとの残りのアルバム制作枚数を消化するために行ったレコーディングが、「マラソンセッション」と呼ばれています。そのマラソン・セッションで吹き込まれたマイルス4部作中の1枚が、この『クッキン』です。ただ、マラソンと言いながらアルバム4枚分を2日間で録音しています。
マイルスの芸術
動画はアルバム1曲目の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」です。全体的に一流のアーティストが奏でている音色は、完璧と言っていいでしょう。特にレッド・ガーランドのピアノがいい。気質の違うつわものたちをまとめ上げているマイルスって一体どれだけの人望があるのでしょう。それぞれの音色に集中して聴いてみるのも面白いです。
美しい音色が心に響く
眠れそうにない、雨音が寂しすぎるせいです、パソコンで引き続き
— イ短調 (@amollamadeus) September 27, 2017
マイルス・デイヴィス
を聞いています
アルバム《クッキン 》より
♪My Funny Valentine♪
印象的なピアノ前奏から、マイルスのミュートによる主題、その美しい響きに、雨音による伴奏が寂しく付随されています
冒頭の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はやはり人気のようです。その大きな理由はクールかつスイートな演奏によるところが大きいでしょう。確かにミュートの響きは美しいです。ガーランド、チェンバース、そしてフィリー・ジョー・ジョーンズのリズムセクションが安定しているので、より安心して聴けます。
12位:クリフォード・ブラウン(スタディ・イン・ブラウン)
ブラウニーを知るならこれから
50年代を代表する名コンボ「クリフォード・ブラウン~マックス・ローチ・クインテット」の、「チェロキー」で始まり「A列車で行こう」で終わるスタンダード集です。クリフォード・ブラウンの愛称はブラウニー。音色やフレーズの親しみやすさが好評で、整然として、かつ、メリハリのある演奏に定評のあるトランペッターです。
ストーリー性のあるアドリブ
動画はアルバム1曲目の「チェロキー」です。無類の歌心を持ったクリフォード・ブラウンのトランペットと、音楽性豊かなマックス・ローチドラムの組み合わせは、相性も抜群で、ハードバップの魅力を存分に聴かせてくれます。メリハリのついた音色の緊迫したプレイなども完璧で、初心者には是非このアルバムから入って頂きたいです。
わずか2年の名コンビ
「スタディ・イン・ブラウン」というのは最初にジャズのアドリブは楽しいなあと思わせてもらったアルバム。クリフォード・ブラウンは素晴らしいし音もよい。
— 渡邊芳之 (@ynabe39) May 10, 2015
このアルバムは確かに初心者にも聴きやすいアルバムです。ただ、1956年にクリフォード・ブラウンは事故で他界してしまいますので、この名コンビの活動期間は約2年です。あまりにも短すぎます。それだけに2人のスタイルは、後世に語り継がれているのでしょう。
11位:ジョン・コルトレーン(ブルー・トレイン)
名盤中の名盤
大満足な名演のオンパレードで、ブルーノートのアルバムの中でも「大傑作」の部類に位置するこのアルバムは、コルトレーンがブルーノートに残した唯一のリーダー作です。演奏全体が骨太で力強く、セロニアス・モンクとの交流を経て、コルトレーンが急成長を遂げた時代の演奏だけに、そのプレイは自信に満ちあふれて堂々としています。
気心の知れた仲間と
動画はタイトル曲の「ブルー・トレイン」です。気迫のこもったサックスは音数も半端なく多く、圧倒されますが、ソロが終わってモーガンに変わった時の、ペットの第一声で、がらっと雰囲気が変わり、モーガンワールドになってしまうのは、流石です。そんなアドリブの仕掛け合いのような演奏が楽しめます。
初心者におすすめの1枚
今、ジャズのジョン・コルトレーン「ブルートレイン」初めて聴いてる。めっちゃ名盤やんけ!
— akihiko/はてなブログでサブカル (@akihik0810) February 16, 2018
当時のマイルス・グループでの同僚や、フィラデルフィア時代の仲間たちという、気心の知れたサイドマンの頑張りが、纏まったサウンドを生んでいると言えるでしょう。これぞジャズというなら、この1枚は外せないでしょう。初心者にも気軽に受け入れられるアルバムです。
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング10位~4位
10位:チック・コリア(リターン・トゥ・フォーエバー)
フュージョン現象の到来
1970年代のフュージョンブームを巻き起こすきっかけになった、チック・コリアの代表作です。チック・コリアのソロ名義ですが、実質的にはアルバムタイトルの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」というバンド名でもあり、バンドとしてのデビュー作です。また、夜のイメージのあったジャズに朝の光を与えたとも言えます。
高度なテクニックの集結
動画は、アルバムのラストに入っている「サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ」のライヴ収録です。アルバムでは、フローラ・プリムのヴォーカルとジョー・ファレルのフルートも効果的で、スタンリー・クラークのベースも高度なテクニックで、チック・コリアは、マイルス時代に得た弾き方もまだ残っていたり、やはりチック・コリアのアルバムだと認識させてくれます。
バランスのとれた最高の仕上がり
ふむふむ。確かにチックコリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーは特にローズが小鳥のささやきみたいだったりスタンリーのベースは波のようにうねるしアイアートのパーカッションも全て自然界の音を奏でているよう。シャッソルが影響を受けたのはうなずける。 #tokyomoon
— matsusan (@49Crush) June 17, 2015
相対的に、バランスのとれた最高の仕上がりのようです。ジャズではないと批判的な意見もあったようですが、今聴いても決して古さを感じさせない素晴らしいアルバムです。チック・コリアも当然ながら、メンバーそれぞれが高度なテクニックを持っていますので、安心して聴ける心地よいアルバムです。
9位:ソニー・クラーク(クール・ストラッティン)
ジャケ写真の美脚は助手
1958年に録音されたソニー・クラークの代表的なアルバムです。当時ハイヒールのジャケットにかなり注目が集まりました。この美脚のモデルは誰かということですが、ジャケットのデザイナーのリード・マイルスが、ブルーノートの社長らとリード・マイルスの事務所でジャケ写の打ち合わせをしていた時に、ランチに出かけ、助手の女性の脚を急遽撮影したものだそうです。
相性抜群の2管
動画はタイトル曲の「クール・ストラッティン」です。クラークのふっくらと包み込むようなピアノに、マクリーンのアルトサックスが熱っぽく語ると、ファーマーのトランペットがマクリーンの熱を冷ますかのように抑制してくるという、まるで会話をしているかのような演奏に惹かれます。また、確実に全体を引き締めるベースや、ドラムも魅力的です。
日本人好み
6 Great Jazz、ソニークラークのクール・ストラッティンを聴いてるけど、ソニークラークのピアノの芯のある音やトランペットの突き抜けるように伸びる音がたまらん。これは確かに素晴らしい音だね。買って大満足のレベル(保存版でもう一つ買いたいぐらい)
— N.J. Highend Headphone Mania (@takanozomi2222) July 10, 2015
軽快なバップに浸るには、もってこいのアルバムで、ジャズ初心者にも気軽に親しめる1枚です。はじめてジャズを聴く人が手に取る最初のアルバムとしても定評です。重く引きずるような独特のフレーズ、マイナーな曲調などが、日本人好みと言われていますが、アメリカではそれほどまで人気は出なかったようです。
8位:ジョン・コルトレーン(バラード)
甘く心に浸みるシリーズ
切れ目なく続くサックスの音を「シーツ・オブ・サウンド」と形容され、激しいイメージの付いたジョン・コルトレーンでしたが、本人はデビュー当時からバラードを好んで演奏していて、その総集編とも言えるのがこのアルバムです。
サックスで歌うコールトレーン
動画はアルバムの1曲目「セイ・イット」です。コールトレーンは、「声で歌うのには向いていないが、サックスで歌うことはできるつもりだった」と名言しています。このアルバムのコールトレーンのサックスはまさにそれに尽きるでしょう。穏やかで、リラックスできる音色は、シーツ・オブ・サウンドとはまた違った良さがあります。
静かなる名盤
名盤ジャズ。ジョンコルトレーン/バラード。62年録音。コルトレーンの作品のなかでもっとも甘美な曲に仕上がっている。1曲目のセイイットは誰もが聴いたことがあるのではないかと思う。静かなバーにひっそり流したい。
— Bar Golem 三軒茶屋 (@Bar_Golem_Jazz) September 28, 2011
これがコールトレーン本来の姿かも知れません。あまりにも激しいイメージが付きすぎて、誤解をしている人も多いかも。一生懸命頑張ってサックスを演奏しているのもコールトレーンですが、実際はこちらのバラードの方が、本人も安らげるのでしょう。
7位:ビル・エヴァンス(ポートレイト・イン・ジャズ)
枯葉がエヴァンス風に舞う
このアルバムは、1959年にリリースされたトリオ編成で、エヴァンスにとっては通算4枚目の作品です。特にシャンソンのスタンダード「枯葉」においては、急速調のピアノで多彩なアドリブを展開することで、数々のコンテンポラリー・ジャズを代表するピアニストに大きな影響を与え続ることになりました。『スイングジャーナル』誌選定のゴールドディスクにも認定されています。
ピアノトリオの真髄
動画はアルバム5曲目の「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」です。エヴァンスのピアノは言うまでも無くそれの敏感に反応するラファエロのベースも、ただリズムを刻むだけで無く、しっかりとピアノと語り合うようなフレーズには驚きます。そしてそこにポール・モチアンのドラムがしっかりと輪郭を描いて絡んでくる。これぞビル・エヴァンストリオの真髄です。
絶妙なインタープレイ
ビル・エヴァンスのピアノはやっぱり凄い。『ポートレイト・イン・ジャズ』とマイルスの『カインド・オブ・ブルー』に収められた『ブルー・イン・グリーン』のエヴァンスのピアノはリリシズムの極致と言える。素晴らしい。
— jazz_freak (@jazz_freak) January 31, 2010
ひとつひとつの音色がくっきり浮かびあがるビル・エヴァンスのピアノ演奏は、音色も美しく楽しめます。また、緊張感と躍動感溢れるピアノトリオのインタープレイを味わうにもすばらしいアルバムです。お互いの良さを引き出し合う「間」の取り方が彼らならではの感覚で素晴らしいです。
6位:キャノンボール・アダレイ(サムシン・エルス)
心に余韻が残る大傑作
1958年3月に録音された、ジャズ史上のトップを維持する歴史に残る名盤です。このアルバムの圧倒的人気曲「枯葉」では、マイルス・デイヴィス絶妙のミュート・トランペット・ソロが人気を博しました。契約上はキャノンボール・アダレイがリーダー名義ですが、実質上のリーダーはマイルスだったと言われています。ジャズ初心者にも入りやすい1枚です。
リズムセクションが引き立てる
動画はアルバム1曲目の「枯葉」です。ただ、マイルスだけではなく、余分な音は一切弾かないサム・ジョーンズのベースや、アート・ブレーキーの神妙なブラシがあってこそのマイルスの音色が引き立っているのです。また、2曲目の「ラヴ・フォー・セール」のイントロの、ハンク・ジョーンズの細やかなピアノも効果的です。
ジャズはじめの一歩
ヴォンジョルノー!おつこんです。 RT @t_hisashi: これの「枯葉」のマイルスのソロに最初猛烈に感動しました。マイルスを聴いた最初がコレでした。RT @JR_wasurenagusa: サムシン・エルス キャノンボール・アダレイ いいものはいい。
— Katsushige fujikawa (@katsufuji) April 2, 2010
このアルバムを最初に聴いたのはラッキーです。クールでストイックなマイルスに惹かれる人は多いようです。この頃のマイルスの音色は神がかっているとも言えます。知的に控えめですが、美味しいところをしっかり持って行くところは、やはりマイルスです。
5位:アート・ブレイキー(バードランドの夜 Vol .1)
アナウンスも1曲
1954年2月21日に、「バードランド」で行なわれたライヴ演奏を2つのアルバムに分けたうちの、Vo.1です。1曲目に「イントロダクション」として入っているのは、バードランドのドアボーイ兼名物司会者の「ピー・ウィー・マーケット」のアナウンスです。この言葉そのものが、ジャズだと言えるという事で、カットされることなく、堂々とこのアルバムの「1曲目」として存在しています。
ほとばしる臨場感
動画では、MCピー・ウィー・マーケットのセリフを集めてあります。アート・ブレーキ-のライヴには欠かせないMC。アルバムでは、イントロダクションが終わって、元気よく飛び出すツーホーンテーマが意気込みを感じさせます。そのままクリフォード・ブラウンの語りかけるようなペットの音色が美しい。リズムセクションが完璧なので、安心して聴いていられます。
クリフォード・ブラウンが素晴らしい
久しぶりにアート・ブレイキーの『バードランドの夜vol.1』を聴いたら、あまりにカッコ良くて唸っちゃったよ。
— noburin (@noburin2828) September 6, 2014
すげえなぁ〜、ブレイキー!
クリフォード・ブラウンのトランペットの輝かしさは、聴いてて泣きたくなるね。
ルーのアルトも最高。
この頃のクリフォード・ブラウンは、まだデビューして間もない時期ですが、これだけの存在感を持つのは凄いです。ピー・ウィー・マーケットから「トランペットのニューセンセイション」と紹介されていますが、まさにその通りでしょう。若くしてこの世を去ったのはジャズ界においても、本当にもったいない話です。
5位:アート・ブレイキー(バードランドの夜 Vol.2)
チャーリー・パーカーが見ていた
1954年2月21日に、「バードランド」で行なわれたライヴ演奏を2つのアルバムに分けたうちの、Vo.2です。このレコーディングは、バンドとしてのまとまりが出始めたライブ出演2週間目の録音ですので、演奏の勢いやタイミングに熱気など、メンバー皆ベストコンディションです。そして、この日は4・5曲目の作曲者チャーリー・パーカーが会場に来ていました。
御大アート・ブレイキーは偉大
テンションマックス
動画は、冒頭のMCから「Wee-Dot」に入る豪快なアート・ブレイキーのドラミングです。いきなりテンションマックスで、クリフォード・ブラウンもルー・ドナルドソンも、本当にみんな楽しそうに演奏しています。ライヴ会場の臨場感が半端なき伝わってきます。これも全て大御所のアート・ブレイキーがいるから成り立っているのでしょう。
イントロダクションに続いて、一曲目から飛ばすブレイキーさんのドラムからです。ツーホーンテーマが飛び出した瞬間といったら、もう堪りません。熱いですねぇ!2曲目ではvol.1でのブラウニーさんのワンホーンに対抗(?)してルー・ドナルドソンさんのワンホーンです。演奏時間は3分29秒と短いですが、なんとも、心をくすぐる演奏です。4,5とパーカーナンバーで締めです!
確かにルー・ドナルドソンのアルトサックスも信じられないくらいに熱くて、まるで、パーカーの化身のようです。これだけメンバーが好き勝手に思い切り演奏が出来るのは、やはり御大アート・ブレーキーの懐の大きさでしょう。グループ全体をリードして、愛情いっぱいに溢れています。
4位:アート・ペッパー(アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション)
夢の共演
このアルバムで、初めてアート・ペッパーとマイルス・デイヴィスの黄金のクインテットのリズムセクションが顔を合わせて演奏したのが「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」なのです。当然このリズムセクションですから、素晴らしくないはずがありません。
初のコラボで緊張気味のペッパー
動画は、アルバム7曲目の「Tin Tin Deo」です。ペッパーの自伝によると、マイルスグループのリズムセクションを迎えるに当たって、ペッパーは緊張のあまり薬をしてから臨んだとか。それでこれだけの演奏が出来るのは素晴らしいです。リズムセクションの方はというと、御大マイルスがいないせいか、特にガーランドは伸び伸びと演奏しています。
奇跡の一期一会
ブログを更新しました→アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション https://t.co/0MfuzGSvpu
— 高良俊礼 (@synreisoundspal) June 28, 2017
マイルス・バンドのリズム隊をバックにワン・ホーンで艶やかに歌うペッパー。メロディ感覚、アレンジのセンス、どれも完璧。これがたった1日のレコーディングとは。。。
このアルバムは、ペッパーが体調不良で遅刻したこともあって、ろくなリハーサルも行わずに、ほぼぶっつけで行われたと言われています。たった1日しかなかったにも関わらず、これだけ悪条件が重なっての演奏とは思えない、聴き応えのあるアルバムになっています。
ジャズ名盤おすすめ人気ランキング3位~1位
名曲ベスト100のランキング3位~1位
それではトップ3を見てみましょう。ここにランクされるアルバムは、ジャズファンでなくてもどこかで聴いたことがある名曲ばかりです。
では、名曲ベスト100の中のランキング3位から1位をどうぞ。
3位:ソニー・ロリンズ(サキソフォン・コロッサス)
テナーの巨人
1956年に発売した矢先に英米のメディアで絶賛され、ロリンズの名を一躍広めた最高傑作です。ジャズマニアの間では、このアルバムのことを「サキコロ」と呼ばれて愛されています。このアルバムは、定番となっていますが、聴く度に新しい発見やどのパートに集中して聴くかなど、何度も違う体験が出来るという名盤ならではの楽しみ方が出来ます。
豪快なテナーが魅力
動画はアルバム3曲目の「ストロード・ロード」です。テナーサックス入門の定番のような、太くて低い豪快な音色が心地よいです。豪快でいてどこか繊細さも垣間見えるロリンズのサックスは何度聴いても飽きません。聴けば聴くほどユーモアも盛り込まれたりして、どんどん引き込まれていきます。また、テナーだけでなく、ダグ・ワトキンスの力強いベースも素晴らしいです。
ロリンズの最高傑作!カリプソ調のセント・トーマスで軽快に歌い、ユー・ドント・ノウ・ホヮット・ラヴ・イズでスロー・バラードを太く吹き、モリタートをリラックスして歌い上げる。ダグ・ワトキンスのベースのギシギシとしたウォーキング・ベースとマックス・ローチの堅実なドラムも最高です。トミー・フラナガンは決してでしゃばらない。傑作です。
歌うサックス
歌い上げるという表現はよくジャズ誌などで見かけますが、話ながら吹いているのではと思うくらい感情が伝わってきます。
リズムセクションもしっかりしていると安心して聴けます。やはり、全てに於いてバランスが大事なのでしょう。
初心者にもおすすめ
ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』(1956年)を聴き終えたとき、「やった!」と思った。サキソフォン・コロッサスを聴いていると、ジャズ初心者のわたしにも「これはいい。心地いい。爽やかである」という心の動きや体の動きが訪れたからである。
— al (⃔ *`꒳´ * )⃕↝ sinceK (@alsinceke) July 18, 2014
ジャズ界の定番の1枚として挙げられるこのアルバムは、ジャズ初心者にも親しみやすいでしょう。メリハリがあって、テナーの魅力が存分に味わえます。メンバーそれぞれが、最高の演奏をしてバランスもピッタリとれていますので、飽きがこなくていつまでも愛されるアルバムです。
2位:マイルス・デイヴィス(カインド・オブ・ブルー)
ジャズ史の頂点を極めた大名盤
1959年3月4月と2回に分けて録音されたスタジオアルバムです。キャノンボール・アダレイを加えて6人編成になったマイルスバンドは、従前のハード・バップ・スタイルに留まらない、「モード・ジャズ」と呼ばれる新たな演奏手法に挑戦し、このアルバムがモード・ジャズを代表する歴史的名盤とまで言われるまでになりました。
マイルスの要望に見事応えたエヴァンス
参加アーティスト
TP:マイルス・デイヴィス
AS:キャノンボール・アダレイ
TS:ジョン・コールトレーン
P:ビル・エヴァンス
P:ウィントン・ケリー(2曲目のみ)
B:ポール・チェンバース
DS:ジミー・コブ
録音当時、既にマイルスのバンドから脱退していたビル・エヴァンスを呼び戻し、アルバム作りに参加させています。そのため、後任のウィントン・ケリーは、唯一の軽快なブルースナンバーである、動画の「フレディ・フリーローダー」1曲のみの参加です。どちらのピアノも捨てがたいですが、やはりモダン・ジャズと言えばビル・エヴァンスでしょう。
素晴らしいアルバムです。往年の名盤でジャズファンなら必ず持っている一枚だと思いますが、それも当然という 素晴らしいアルバムです。染み込んで来ます。
確信を実行して成功を導く
ベタですが、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」を聴くなう。これより素晴らしい音楽なんてあるんだろうか。ジャズはこれ一枚と言っても過言ではない。透き通るような空気の静寂を破るハイハット。息づかいで緊迫するCD。生きていて、呼吸をするようなペット。全編を多い尽くす緊張感
— ikeikeike (@ikeikedaidai777) August 3, 2010
この録音が行なわれた時の経緯を知れば、このアルバムが何故これだけ評価されるのかが分かります。すべてマイルスの思惑通りに運んだということです。良い音楽を届けるには、妥協は許せないマイルスの考え方です。このアルバムには、絶対にビル・エヴァンスが必要だと確信して実行し、成功したと言えるでしょう。
1位:ビル・エバンス(ワルツ・フォー・デビイ)
美しいトリオの音色
1961年に「ヴィレッジ・ヴァンガード」で行った最終日のライヴを収録したアルバムです。この11日後に、ベーシストのスコット・ラファロが、交通事故で他界しました。享年25歳でした。タイトル曲の「ワルツ・フォー・デビイ」は、本来ビル・エヴァンスの当時2歳の姪っ子に捧げた曲でしたが、いつも間にか愛らしい曲調のジャズ・スタンダードとして親しまれているようになりました。
インタープレイの極致
現在は、エヴァンス/ラファロ/ポール・モチアンのベスト・トリオによる作品として、このベスト100の41位の追悼盤「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」と、ベスト100の7位にランクインしている「ポートレイト・イン・ジャズ」と並んでベスト100の第1位「ワルツ・フォー・デビイ」で味わえます。
動画はアルバム3曲目の「ワルツ・フォー・デビイ (テイク1)」です。ビル・エヴァンスが左手で確実にリズムをキープするため、ベースのスコット・ラファロに自由が与えられ、重低音から高音域まで、積極果敢かつ即興的に音を繰り出しながら、その上にビルの右手が美しいメロディを奏でてリズムセクションは、楽曲に色彩感を与えてトリオとは思えないほどの素晴らしい空間が生まれています。
エヴァンスのライブ盤。タイトル曲がとても有名です。ピアノ、ベース、ドラムの3人がそれぞれのプレイを聴きながらそれに自分が答えるインタープレイの極地ともいえる演奏ですが、そんな理屈抜きに美しい音楽がそこにはあります。ライブの客はこの演奏をほとんど聴いてはいないでしょうが、そんなのお構いなしの傑出した演奏となっています。
究極の1枚
ワルツ・フォー・デビイhttps://t.co/E1UT4iC2Zv
— 葡萄・ns_8532 (@13l_l31_qpdb) December 30, 2018
彼の代表曲でありジャズを超えて20世紀の名曲です。フランス近代音楽にも通じる非常に繊細極まる彼の音色世界。ビル・エヴァンスの音楽宇宙は人類にもたらされた大いなる恵みだと思います。
人気の名曲ベスト100のランキングトップに君臨するということは、それなりの理由があるはずです。それは、何と言っても音色の美しさでしょう。そして従来の演奏とは異なる究極のプレイが完成されています。これもエヴァンスのリードがあってのことで、それぞれが生き生きと演奏できるような演出がされています。最高のアルバムです。
ジャズを聴くなら!スピーカーにも拘ってみよう
JBLより上があった
そこで、ジャズ専用のスピーカーなんて、本当にあるのかと調べてみました。すると、何と!JBLを遙かに上回るスピーカーがあるという事を発見しましたので紹介します。それは、今までに無いサウンドで、重低音を生々しく再生出来る優れものとのことで、口コミではかなりの好評です。
ジャズ専用スピーカー「ジャズマン jazzman」
jazzman J-01X 仕様書
方式:2way
クロスオーバー周波数:3.0kHz
ツィーター:Vifa XT25BG60-04
ウーハー:JW-01X(フルレンジ使用)
出力音圧レベル:86dB(1m)
再生周波数帯域:27Hz-20kHz
高調波歪:1.8% 1m 55Hz
定格入力:60W
定格インピーダンス:7Ω
本体寸法質量(本体のみ):
308×508×105 6.3kg
付属品:台座、台座取り付けネジ4本、
説明書
価格:LRセット\180,000(税別)
スタンド別売り
その名もジャズ専用スピーカー「ジャズマン jazzman」。100年前にエジソンが開発した蓄音機のスピーカーをボイスコイルで動作させるようにした技術を使って、振動板を現代の素材にしたのが、ジャズマンのウーハーに採用した点駆動スピーカーです。すでに100年前に開発されていながら今まで誰も手を付けなかった技術がやっと活かされる時が来ました。実際にメーカーサイトで試聴が出来ますので、一度お試し下さい。
実際にジャズマンを購入された方が、その音を録音された動画ですが、youtubeに公開されているマイルス・デイヴィスの「So What」と、この「So What」を聞き比べてみると分かります。重低音のアタックという表現をされていますが、購入者は、スピーカーの箱の音が無くなっていて、すぐそばで演奏しているかのようだと言われます。聞き比べてみて下さい。
確かに、ポール・チェンバースのベース音が全く違います。またドラムのハイハットの音も、はっきりしているし、ピアノもより鮮明に聞こえます。たったこれだけの試聴でも違いが分かりますので、実際に実物を前にして聴いてみるとどうなるのでしょう。試聴は、メーカーサイトの左側に「試聴のご案内」がありますので、そちらから申込出来ます。スピーカーに拘るなら、これくらいは欲しいものです。
ジャズ名盤ランキングベスト100!のまとめ
ランキング外の曲もおすすめが沢山!
ジャズ名盤ランキングをTOP100でまとめてきました。懐かしい曲や思い出のある曲もあったのではないでしょうか。
ランキングを参考に、自由にジャズを楽しんでみるのもおすすめです。是非このランキングを参考にジャズの世界を楽しんでみてください。
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